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No.113 「最後のサポートシーズン」

ペンネーム:じんじん

 我が家の長男は、小学4年生の時に陸上競技を始めて、今年9年目になる。その頃は、それなりにがんばってはいたけれど、周りの子に比べたら足も遅く、そんなに跳べず・・・親もそれなりに見守っていた。
 そんな彼は、小5の後半から身長がグンと伸び始めた。小さい頃から食べることが大好き。好き嫌いもほぼなく、何でもおいしく食べる子で、あまり色々考えることはなかったけれど、しっかり3食食べて、たくさん動いて、あっという間に背の高い子になっていた。身長が伸び始めると、足も速くなってきて、あこがれのリレーメンバーにも入ることができたのだ!ただ、コロナ禍に突入してしまい、残念ながら小学生の間に、全道大会を経験することはできなかったのだけれど。
 それでも、走ることが楽しくなった彼は、中学でも陸上部に入ってがんばり始めた。
 中1では、目標の全道大会出場は叶わず、このまま短距離を続けると思っていたシーズンオフ。ハードルと出逢い、コーチの勧めで四種競技を始めた。
 コーチの「全道優勝を目指してもらいます!」という言葉を聞いて、そんな夢の話・・・と思っていたのに。
中2の夏、彼は110mハードルで全道4位になった。そして、全国を目指すと言った。お世辞にも器用とは言えず、陸上の才能があるとも思えない。でも、練習は一生懸命やっていたし、何でもおいしく食べることは、一番の才能だと思えた。私は、おいしいごはんをたくさん食べられるように作るだけで、何もしていないと思っていた。
 しかし、よくよく考えれば、カラダづくりと疲労回復を無意識にやっていたらしい。赤ちゃんの時からの親友も同じ陸上チームにいるのだけれど、その母に、「息子のカラダは、あなたの功績だ」と言われて気がついた。
 周りよりやや早く成長期が訪れ、カラダが大きくなったわけだが、毎日の食事が、彼のカラダを作っている。みんなが悩む栄養バランスが、あたり前にわかる。私が栄養士になったのは、このためだったのか。と、思った。そして、私にもスイッチが入った。

「一緒に全国を目指そう」

 混成競技は、1日に複数の種目があるので、どの時間に何の栄養をどれくらい、どのような形態でとるか。臨床しかやってこなかった私が、初めてスポーツ栄養に心をひかれた。補食もリカバリーも、遠征や合宿に行けば、彼が自分で選ばなくてはならないので、家での食事も、外での食事も、それとなくアドバイスし、高校に入って始まったお弁当も、毎日写真で残し、Instagramのストーリーに記録したりしていたら、選び方を自分から聞いてくるようになった。顧問の先生にも「バランス良く食べますね」と褒められるくらいには成長していたらしい。
 中3の夏、四種競技と110mハードルの2種目で全道優勝し、110mハードルでは全中に出ることができた。高1では八種競技も始め、110mハードルでインターハイ出場。U16にも出場できた。ここまではとにかく右肩上がり。でも、世の中そう上手くはいかない。高1の冬から高2では、体重管理ができず、成績もなかなか思うようにいかなかった。「どんなに食事を調整しても、間食に気をつけなければ、すぐに体重に直結する。」私の言葉は届かなかった。でも、そんなこともあったからこそ、気づきは得られた。
 高2の冬は意識を高く持って取り組み、高校最後のシーズンに向かってやれることをやってきた。最近は年の離れた弟が、大好きな兄のために、補食のおにぎりを作ってくれたりもする。愛情がたっぷり詰まっているおにぎりは、きっと彼の力になると信じている。
 そして高3。ついに最後のサポートシーズンが始まった。今年は、ひとつひとつの試合をしっかり噛みしめながら、1食1食、大切にしていこうと思う。

本文ここまで

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