ここから本文です。

No.99 「夏の味」

ペンネーム:夏生まれ

「じゃんけん ぽん グスベリ」 遥か昔、45年くらい前でしょうか…

勝った方が出した手で、グーならグスベリ、パーならパイナップル、チョキならチョコレートと、言葉の数だけそれぞれ4歩、6歩、6歩と階段を上り下りする遊び。

小学生の頃夏休みに祖母の家に集まった時、横浜のいとこのグーはグスベリではなくグリコだったことに驚いた記憶があります。

グスベリではなく、正式には「グーズベリー」と知ったのは高校生の時でした。

そのグーズベリーですが、実家の隣のお宅の庭にグーズベリーの木がありました。

結婚して夫と私の実家に行った時、夫はグーズベリーに気づき、実が欲しいと言うのです。熟した実であればわかりますが、まだ未熟な青い状態。 お隣さんに事情を話すと、快く分けてくださいました。 

家に帰ると瓶に塩水を作り、いただいた実を漬けていました。数日後瓶の中から実を数粒小皿に取り出し、美味しそうに食べていたので、好き嫌いのほとんどない私は、物は試しと食べてみました。しかし、青臭く強い酸味で、私には理解できない味でした。

その後子どもが生まれ、娘が2歳半の夏、パパが美味しそうにグーズベリーの実を食べている姿に娘も欲しがるので、1粒渡すと「美味しい」と言って食べたのです。2人目の子どもも2歳の夏に同様に欲しがり、美味しいと言って食べました。

私の両親、妹、弟にも食べてもらい、皆「えっ」という反応でしたし、周りでもグーズベリーの未熟な青い実を食べるという話しは聞いたことがなかったのに…。

子どもが好む味とは到底思えませんが、“夫の味覚を受け継いでいる”と強く感じました。

グーズベリー

お盆前に帰省すると娘から連絡があり、息子もその日に合わせて帰省することに。

コロナで自由な往来ができていなかったので、久しぶりに家族が揃うと思うとわくわくしました。

7月中旬頃に実をつけるグーズベリー。夫は子ども達にも食べさせたいと思い、帰省に合わせて日持ちするよう、いつもより塩を濃くして漬けていました。 

娘夫婦、息子は彼女同伴で帰省。市内に住む私の両親も来て、久しぶりの再会に幸せな時間を過ごしました。庭での焼肉を終え家の中に場所を移し、飲み物やつまみを用意。夫はこの日のために準備したグーズベリーの実を小皿に入れ、テーブルに出しました。息子は美味しそうに食べましたが、娘は「歯のエナメル質に悪いからやめておく」とのこと。ちょっとガッカリした夫でしたが、すかさず娘の夫K君が「いただきます」と口に入れたので、大丈夫かな?と見ていましたが、「ワインに合いますね」と、予想外の反応。我慢しているだろうなと思いましたが、その後も3~4粒食べていました。皆が揃い幸せを感じているのと、娘には断られたもののK君には美味しそうに食べてもらえたことで、満面の笑みの夫でした。

休日は朝からスコーンを焼いたり、お洒落な店で食べた素敵な料理を、週末自宅で再現して楽しんでいる料理上手なK君。

この先、何度か我が家の“夏の味”を食べているうちに、いつか気に入ってK君が継承してくれる時がくるのかな? 私は食べられないグーズベリーですが。

本文ここまで

スポンサーリンク

  • トータル・ソフトウェア株式会社クラウド栄養管理ツール『フレミール』

ここからフッターメニュー