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No.108 海と私と飯寿司と ~おいしいものはたくさんあるけれど~

日高徳洲会病院 栄養科 田上未紗 

 海のない町に生まれ育った父も母も、飯寿司を食べる習慣はなく、そんな両親のもとに生まれ札幌で育った私は、大人になるまで飯寿司を食べる機会がありませんでした。親元を離れ、就職のため海のある田舎町に暮らし始めて早20年。思い返すと、赤ちゃんだった長女をおんぶ紐で背負いながら、当時勤めていた職場の年配者に教わりながら見様見真似で漬けたのが私の初めての飯寿司作りでした。せっかく海のある町に来たのだから、この暮らしを堪能しなくては、と田舎暮らしに憧れを抱いていた若かりし日の私は思ったのでした。
 その後、子育てで飯寿司どころではなくなった時期もありましたが、8年ほど前からまた毎年、今度は義母と一緒に飯寿司作りをしています。義父が釣ってくる鮭と、親戚からいただく野菜を漬けます。義父は釣って捌くところまで担当してくれます。大量の大根や人参、生姜はひたすら千切りに、キャベツはざくざくと、義母と私で手分けして。

 飯寿司はその家その家の好みに合ったレシピがあり、調味料や使う野菜、手順や野菜の切り方などにそれぞれ工夫(いくらが入っている豪華版や人参が花型になっているかわいいものなど)があります。食べ比べなどしてそれも楽しみ。地元の飯寿司名人たちにレシピを教わっては試行錯誤。しかし、私たちの口に合うのはCookpadに載っていたシンプルなレシピで漬ける飯寿司とわかり(!)、毎年そのレシピで作ります。まずごはんに麹、酒、砂糖、みりん、酢などを合わせておきます。樽に大根、人参、キャベツ、鮭、の順で層になるように敷き詰めていき、塩を振って、調味料と合わせておいたごはんを乗せてぎゅうぎゅうと力を加えて押し付けます。生姜を散らし、また大根から同じ順で繰り返し。シンプルなレシピではありますが、毎年手順や要領を忘れるので義母と二人でああでもないこうでもないとわいわい言いながら準備します。気付けば2人ともいつになく真剣な顔をして、もくもくと各々の樽に向き合いせっせと漬けているのです。平らにぎゅうぎゅうに敷き詰め終えたら、重石をして1~3日温かい所で発酵させ、その後は涼しいところに移動させ、毎週重石を少しずつ増やしていきおよそ40日で出来上がり(重石の管理は完全に義母に任せっきりで私は苦労せず気づいたら出来上がっている!)。同じレシピで作っても、気温の違い、使う魚、塩や砂糖、酒などの種類によって、同じ味には出来上がらないのが面白いところ。

 去年、鮭の不漁と義父のけがが重なり、鮭を手に入れることが出来ませんでした。不漁によりかなり高値だったため、買ってまで漬けなくてもいいかと断念したのが失敗でした。お正月のさみしいこと!11月初めに漬けるとクリスマスには食べられ、年末に、あちこちお世話になっている方々へ送り、そして飯寿司とほんの少しの(?)日本酒をちびちびと、というのが私の幸せなお正月の過ごし方。今年17歳になった長女も母ちゃんの飯寿司が好物になり、今年は少し甘かったかな?など一緒に味わえるのがまた感慨深い。

 普段川釣りやカレイ釣りを得意とする夫も、今年から釣り竿を鮭用のものに持ち替え参戦(9月中旬現在ヒットなし)。義父と夫に期待してプレッシャーをかけつつも、今年は魚屋さんで鮭を買ってでも漬けようと密かに思っているのでした。

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