越冬野菜といわれる食材が、冬の時期は活躍します。キャベツや人参、大根など、雪の下で寒さをこらえながら甘くて美味しさを保つ、雪が降る地域ならではの野菜です。そんな越冬野菜の仲間である「雪の下大根」は、秋と冬に2度収穫する野菜です。
「雪の下大根」の種を8月のお盆過ぎに播き、1カ月半くらいで小さい大根が顔を出します。この間、間引きされた大根の葉は、味噌汁の具材に最高で、やわらかくとても美味しいです。大きくなった大根は、11月頃に1度目の収穫時期を迎えます。収穫後は大根を並べ、その上にビニールと土を被せて、「雪の下大根」になるために、雪が降るまでじっと待ちます。
やがて雪が降り積もると「雪の下大根」として、本格的な収穫が始まります。厳しい寒さが続く2月頃でも吹雪の中、朝早くから収穫します。生産者さんの丹念な作業とたゆまぬ努力が大根の甘さを支えているのだと実感します。この収穫は、翌年の3月上旬まで続きます。
店頭へ行くと「雪の下大根」が並んでいます。その背景には、寒さに耐えながら収穫した生産者さんの思いや、自然の恵みを受けて大きくなった大根が真っ白い姿で、胸を張って堂々と並んでいるように思えます。食材には、育つまでの物語がありますね。そんなことを考えながら、「今日は、甘さを感じるならサラダ、体を温めるなら煮物、魚を食べるなら大根おろし、皮は炒め物にしよう。大根は無駄なく丸ごと味わえる、とってもエコな食材だな」と、改めて思いました。
北海道は冬の間、地元野菜も少なくなり野菜不足も心配ですが、越冬野菜はそんな時期にも食卓を彩ってくれ、私たちに元気をくれると思います。
自然の恵みと、それを育てる人々への感謝の思いを胸に、今日も「いただきます」「ごちそうさまでした」を大きな声で言いながら、北海道の“冬のごちそう”である越冬野菜を楽しみにしております。

吹雪の中、「雪の下大根」を収穫中

