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No.102 「母の1年」

ペンネーム:もぐりん

 昨年1月に78歳の母が脳梗塞になり入院し、2月に再発防止のためにバイパス手術を受けました。手術はうまくいったようですが、言葉がうまく出てこない状況や、手術の傷跡の痛々しい姿を見て、元気で病気知らずだった母の変わり果てた姿にショックを受けました。

 リハビリもすぐに始まり、言語療法、作業療法、理学療法と1日に3~4回もスケジュールが組まれて、病院ではこんなにも良くしてくれるのだと驚きました。

 ただ、1か月経っても、起き上がると血圧が下がるからということで、鼻からの経管栄養のままで、口から水分もほとんど摂れずにいました。

 私自身は、小中学校の現場でずっと働いてきたので、病態栄養も術後の回復期の栄養も、恥ずかしながら実はよく分かっていませんでした。ただ、このままだと、本当に起き上がれないままになってしまうのではないかと不安な気持ちになりました。主治医の先生との何度目かの面談で、飲み込みの機能は悪くないので、ゼリーなど試していきましょう。とようやく口から摂取する方向に。「母は食べることが好きなので、少しでも口から食べることが出来たら、もっと良くなるような気がします」と必死に伝えました。寝たきりでいると、こんなにも筋肉が落ちるのかと思うほど、手足の筋肉がだらんとなって、会話する声も小さく、時々妄想の中にいる感じで、変なことを言うことも。認知症も大丈夫か心配になっていました。

 次の週に面会に行くと、病室ではなく、デイルームで、とろみ食を食べているという話でした。え?もう?水分もだめだったのに?母は、むせたりすることもなく、しっかり食べているとのこと。さすが母。次の週には、自分で起き上がろうとするようになり、さらに2週間後には、立ち上がり、歩けるようになりました。口から食べられるようになると、本当に回復が進むのですね。3月の末に3食食べられるようになり鼻のチューブがようやく取れると、新しく入ってきた患者さんから、どこが悪くて入院しているの?と聞かれるほど回復していきました。

 入院から半年が経ち、6月末に退院。一時は施設入所を考えていたのですが、リハビリで階段を上ったり、料理をしたり、掃除機をかけたりできるのが自分で分かると自信につながり、一人暮らしに戻ることに。毎食、何を食べたか、私と姉との3人のLINEに写真を送ってもらうことにし、気になることがあれば、コメントしたり、頑張っている様子を励ましたりしていました。

 それでも、退院後1か月で栄養指導をして頂いた時、食事の写真を見てもらうと、漬物の1回の量が多いことと、みそ汁が3食にならないようにと指摘がありました。おかげで退院から半年経った今も、みそ汁の代わりに牛乳や豆乳にしたり、味の濃いものや甘いものを控えたり、入院前の食生活からはすっかり変わり、血圧も何とかコントロールして過ごすことができ、大変感謝しています。

 自分自身も50代となり、体力も曲がり角。母のこの1年を教訓に、さらに健康に気を付けて過ごしていきたいと思います。

本文ここまで

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