ここから本文です。

No.103 「管理栄養士として、両親の介護から学んだこと」

ペンネーム:シマエナガ

ここ数年、父と母の介護が必要になりました。二人とも年齢を重ね、できないことが少しずつ増えていく中で、私が改めて感じたことがあります。

それは、「食事は人生の最後まで残る楽しみである」ということです。

歩くのが不自由になっても、耳が遠くなっても、記憶が少しあやふやになっても、「今日は何を食べようか」という気持ちは不思議と残っています。そして、おいしそうに食べるその表情を見るたびに、私は管理栄養士としての道を選んでよかったと、心から思うのです。

食事はただ栄養を摂るためのものではなく、人と人をつなぐ時間であり、心を動かす瞬間でもあります。とくに高齢になり、生活の楽しみが限られてくると、食事の時間は日々の中で最も心が躍るひとときとなります。

やわらかさ、味の濃さ、食べやすさ、盛りつけの工夫…。一人ひとりの状態に寄り添いながら、どうすれば「食べたい」「おいしい」と感じてもらえるかを考える。そのプロセスには知識も経験も必要ですが、なによりも「その人の人生に寄り添いたい」という想いが欠かせません。

介護の現場でも、食べることをあきらめかけていた方が、工夫を凝らした一皿で笑顔を取り戻す瞬間を、私は何度も見てきました。栄養士という仕事には、そうした奇跡のような場面に立ち会える力があります。

食べることは、生きること。
その根幹に関われる喜びを、私は今、両親の介護を通じてあらためて感じています。

本文ここまで

スポンサーリンク

  • トータル・ソフトウェア株式会社クラウド栄養管理ツール『フレミール』

ここからフッターメニュー