第4セッション
演題 4
1型糖尿病合併妊婦・授乳婦の継続指導症例
発表者 ○野口 枝美1) 、小泉 絵理2) 
(JA北海道厚生連 帯広厚生病院栄養科1) 、丸瀬布厚生病院栄養科2)
【はじめに】糖尿病合併妊婦・授乳婦は、精神的に不安が多く血糖値が乱れやすい時期にあるため、よりきめ細かな係わりが求められる。今回経験した2症例のこれまでの経緯と考察を報告する。【症例1】1型糖尿病歴の長い合併妊婦。妊娠期という新たなライフステージに入り、体重管理に注意が向くことで、低血糖の危険性に対する認識が薄れるなど様々な問題が生じた。不安定型であることから、変動しやすい血糖値に振り回されないことが重要と考えた。そこで、SMBGの記録から低血糖の頻度や対処法を確認し、妊娠期の栄養バランスを含め食生活の見直しを行った。現在は、食事内容と食後血糖値の関連を確認することが出来ている。【症例2】出産直後に1型糖尿病を発症した授乳婦。SMBGからは授乳による影響が明らかに見られ、卒乳を考えた時期もあったが、継続を決断。授乳による血糖変動を受け入れている。この症例の場合、高血糖補正時や間食時のインスリン管理など、血糖コントロールに対する意識が高いことがうかがえた。そこで、SMBGの記録をもとに、エネルギーバランスと食後血糖値の関連等を理解することが効果的と考え、現在HbA1c値よりもSMBG値に重点を置いた指導を行っている。また、自己管理に有用と考え、カーボカウントに関する指導を行い、食生活にも幅を持たせることが出来るよう係わっている。【考察】低血糖の頻度や血糖値の日内変動の傾向を把握するためには、SMBGが有効である。また、SMBGを利用することにより、食事内容と食後血糖値の関係を振り返ることが出来、食事記録の負担を減らすことも可能であると考える。今後はさらにカーボカウントの考え方を活かした指導にも努めていきたい。また、妊娠期と授乳期に特有の要因や状況を考慮して指導にあたる必要性を強く感じた。必要に応じてインスリンの微調整が行われるため、主治医やCDE Nsと連携して指導にあたることで、患者との信頼関係も構築出来ると考える。
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