第9セッション
演題 3
管理栄養士教育課程における学生の
鉄分を含む食品に対する知識と摂取頻度との関係
発表者 ○岡部哲子、長谷川めぐみ、山部秀子
(天使大学看護栄養学部栄養学科)
【目的】管理栄養士教育課程において、学生は将来、食生活の指導を行う立場になることから、好ましい食態度の形成は重要な課題である。授業の中で学習した知識や技術は、日常生活における態度を変容させるとの報告もある。今回は、食事からの摂取量不足が報告されている鉄分について、鉄分を含む食品に対する意識調査結果を基に、学生の食態度を踏まえた検討を行った。【方法】2006年7月〜9月に管理栄養士教育課程に在籍する女子大学生を対象に、質問紙による調査を行った。対象者は374人、回答者は288人(回収率77%)であった。調査内容は、鉄分を多く含む食品を3つ挙げ、その食品の摂取頻度を5段階でたずねた。自覚的な健康状態と貧血の有無についてもたずねた。【結果】鉄分が多いと思う食品は、レバー、ほうれん草、ひじき、小松菜、あさり、プルーンであった。摂取頻度は、ほうれん草、小松菜が高く、ひじき、あさり、プルーン、レバーの順に低くなった。摂取頻度と学年との関連をみると、ほうれん草、小松菜を食べる頻度が1-2年生より3-4年生の方が有意に高く、他の食品との間には関連がみられなかった。貧血の自覚症状について、約25%の者が貧血の自覚症状があると感じていた。食品の摂取頻度と貧血の自覚症状について、ひじき、プルーンとの間に有意な関係がみられた。【考察】鉄分が多い食品であることが認識されていても、摂取頻度の少ない食品が明らかになった。ほうれん草と小松菜は鉄分だけではなく他の栄養素も豊富なことから、授業や実習の献立作成において使用頻度が高くなる。それらの経験が3-4年生の摂取頻度に影響を及ぼしたと思われる。また、貧血の自覚症状を感じている学生が多いことから、何らかの体調不良を感じており対策が必要と考えられる。今後の取り組みとして、貧血の自覚症状と食品摂取との関係を踏まえ、摂取頻度が少ない食品を料理として取り入れる技術の検討が必要であると考えられる。
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