第9セッション
演題 2
北海道の農村居住者における肥満と生活習慣との関連
― 性差に着目して―
発表者 ○佐藤香苗1)、山内太郎2)、玉城英彦3)
(藤女大・食物栄養1)、北大・医・保健2)、北大院・医・国際保健医学3)
【目的】北海道の一農村地域住民の肥満の有病率、ならびに肥満と生活習慣との関連を明らかにし、ヘルスプロモーションのための基礎資料を得ることを目的とした。
【方法】2002年3月、北海道M町の18歳以上町民2,359人(男性1,183人、女性1,176人)に無記名・自記式質問紙を配布し、留置法にて回答を得た。BMI25をカットオフとして肥満群と非肥満群に分け、目的変数とした。「すこやか北海道21」の改善すべき生活習慣7領域と健康行動、コミットメントの様式(携わりたい活動、趣味など)、ソーシャルサポート、基本属性を説明変数として男女層別にロジスティック回帰分析を実施し、肥満群に属する確率を調整オッズ比で求めた。
【結果】回収率は65.0%で、そのうち、身長・体重データが得られた男性642名、女性661名の肥満の有病率は、男性30.2%、女性29.2%であった。これは平成14年国民栄養調査(以下、全国結果)の肥満者割合と比較して、男性では30歳代が19.4%と低く、40歳以上では同率であったのに対し、女性ではどの年代においても肥満者割合が高く、特に40歳代、50歳代は全国結果19.0%、25.6%に対して、それぞれ30.3%、37.2%と顕著に高かった。
 男性の肥満リスクは「喫煙」「趣味がない」「緑黄色野菜の摂取頻度が低い」「油料理の摂取頻度が高い」「主食の摂取頻度が高い」「夕食量が多い」だった。一方、女性の肥満リスクは「年齢が高い」「ストレスがある」「飲酒」「食べるスピードが速い」「歯磨き回数が少ない」「定期健康診断を受けない」であった。
【考察】男性の肥満要因は、非活動的な生活習慣や食事の質と量のバランスが悪いことであり、女性の肥満要因はストレスや食行動との関連が強いことが示唆された。さらに、女性はフルタイム労働者が少なく、専業主婦やパートタイム労働者は定期健康診断を受ける機会が少ないことが肥満に影響していると推察された。これらの男女の肥満要因の特性を考慮した地域栄養活動の推進が望まれる。
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