第6セッション
演題 1
ゆり根の機能性について
〜抗酸化活性及びアンジオテンシン変換酵素阻害活性を指標として〜
発表者 ◯米代武司1)、荒川義人1)、佐藤博二2)
( 天使大学看護栄養学部栄養学科1)、財団法人北海道農業企業化研究所2) )
【目的】わが国で流通しているゆり根は、現在、そのほとんどが北海道で生産されている。古くから民間伝承的に心機能を回復させる効果などが期待され、薬膳の素材としても用いられてきたが、主成分がでんぷんであり、たんぱく質を比較的多く含むなど、栄養特性については明らかにされているものの、いわゆる機能性に関する研究はほとんど行われていない。そこで、今回は北海道の特産品でもあるゆり根について、機能性を評価することで新たなニーズ産出の可能性を探ることにした。
【方法】ゆり根の機能性の指標としては、抗酸化活性とアンジオテンシン変換酵素(以下、ACEと略)阻害活性を用いた。ゆり根を70%EtOHで抽出し、抽出液をアンバーライトIR120(H+)型カラムに供し、吸着部(アミノ酸・アミン画分)と通過部(糖・その他画分)に分けた。抽出液、吸着部、通過部について、抗酸化活性は試料濃度1000ppm溶液を調製し、ルミネッセンサー法で測定した。ACE阻害活性については試料濃度1000ppm溶液を調製し、河村ら(2000)の方法を用い、ACEによって合成基質から生成する馬尿酸量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定することにより阻害率を算出した。 【結果】ゆり根70%EtOH抽出液では抗酸化活性が確認され、アミノ酸・アミン画分では抗酸化活性及び強いACE阻害活性が確認された。また、糖・その他画分では抗酸化活性、ACE阻害活性のいずれも認められなかった。現在、アミノ酸・アミン画分に含まれる抗酸化活性、ACE阻害活性を有する物質の解明を進めている。また、数種の北海道産野菜の抗酸化活性、ACE阻害活性の比較からも、ゆり根は機能性の面で有望であることが示唆された。
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