第6セッション
演題 2
難消化性糖類とビタミンDがミネラル吸収へ与える影響
発表者 ○石井 麻友、原 博
(北海道大学農学院)
【背景・目的】di-D-fructose anhydrideV(DFAV)は、2分子のfructoseから成る難消化性二糖類である。これまでの研究において、DFAVはカルシウム(Ca)および鉄(Fe)の吸収を強く促進した。また、Melibioseは、GalactoseとGlucoseから成る難消化性二糖類であり、以前の実験においてFe吸収を促進した。Vitamin D (VD)はCa吸収に重要な役割を持つため、VD欠乏状態においてCa吸収は低下するが、DFAVを飼料に添加して摂取させる事で、低下したCa吸収が部分的に回復した。本研究においては、VD欠乏と各難消化性糖類がCaやFe吸収に対して、どのように影響するかを調べた。さらに他の欠乏しやすいミネラルであるマグネシウム(Mg)と亜鉛(Zn)吸収と、VDや難消化性糖類との関連性についても検討した。【方法】Sprague Dawley系ラットの雌を、63日間VD欠乏食で飼育後、AIN-93G(Ca 3 g/kg diet)に準ずるControl食、VD欠乏食の各々に1.5% DFAVもしくは1.5% Melibioseを添加した計6種の試験食を28日間与えた。数回の出納試験を行い、ミネラル吸収への影響を調べた。試験飼育最終日に、麻酔下で腹部大動脈から採血、放血致死させ各種臓器を採取した。【結果・考察】Caの吸収率が、VD欠乏食を与えた群で有意に低下した。また、Mg吸収率もVD欠乏群において有意に低下した。さらに、VD欠乏により血清中Fe濃度は低下していた。一方、Control食を摂取させた群において、DFAVやMelibioseを添加することでCa吸収率は有意に上昇した。また、Feと Zn吸収率もDFAVによって促進された。本試験条件のVD欠乏群においては、DFAVやMelibioseのミネラル吸収促進効果が消失していた。
 以上のことから、VDがMg吸収に関わることが新たに示唆された。DFAVはCa・Fe・Znの吸収促進効果があることが確認されたが、VD欠乏群においてはこの作用が消失していた。この点は以前の結果と異なり、VD欠乏の程度がDFAVの作用を左右することを示唆している。この点について、さらに検討する。
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