第5セッション
演題 1
NST活動と栄養輸液・補助食品の使用状況
発表者 ○高橋 涼子、原田 咲子、片岡 真紀、澤田由紀子、芝山 信子
(JA北海道厚生連 旭川厚生病院栄養科)
【目的】平成17年6月よりNST活動を開始して2年が経過した。当院のNST介入依頼の多くは、癌による食欲不振を原因とした低栄養状態の改善、褥瘡・創傷治癒促進を目的としたものである。こうした患者に対して、NSTとして補助的にあるいは微量元素強化のために補助食品を使用する頻度は高い。そこで、NST介入患者における栄養輸液と補助食品の使用状況について調べたので報告する。
【方法】昨年1年間にNST介入し、軽快もしくは病状安定により介入終了となった患者3名における栄養輸液と補助食品の使用状況について調べ、比較を行った。
【結果】症例1、2は喫食率UPを目的に補助食品あるいは栄養輸液により100〜200kcal程度を補っており、症例3は、褥瘡治癒を目的に栄養面において、600kcal程度を補助食品で補っていた。総供給エネルギー1kcalあたりの単価は症例1で0.59円、症例2で0.50円、症例3で0.52円であった。一方、総補助エネルギー1kcalあたりの単価は症例1で2.22円、症例2で4.34円、症例3で0.95円となった。総供給エネルギーに対する総補助エネルギーの割合は、症例1で10%、症例2で4%、症例3では27%であった。
【まとめ】今回の調査により補助食品の利用は、食のQOLの維持だけではなく、コスト面においても有用である事、褥瘡・創傷治癒促進においては、一時的に給食材料費の増加にはなるが、褥瘡の早期治癒が在院日数の短縮に繋がるため、積極的に行う事で経済的効果を生み出せると考えられた。今後も、NSTの拡大とともにこうした補助食品の使用量は増えていくことが予想されるが、患者にとってどんな栄養がどれだけ必要なのかを見極めた上で、適切に使用し、効率の良い栄養管理を考えていきたいと考える。
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