第4セッション
演題 2
NASH患者の治療継続における栄養指導の重要性
─食習慣・身体特徴から見た解析─
発表者 ○日比野智香子、浜田結城、上野香織、谷藤都
(結仁会 浜田内科・消化器科クリニック)
【目的】「2005年人間ドック全国集計によると、肝機能異常者(脂肪肝含む)が26.6%みられ、メタボリックシンドロームの診断基準となる腹囲、BMI、血糖、血圧の異常者よりも高頻度である。当院においても、日常臨床にて肝機能異常を有するメタボリックシンドローム患者の栄養指導を積極的に実施している。これらの患者は、生化学検査・画像診断を施行するとNASHを発症する危険性が極めて高いことが認識される。このような病態進展を回避するため、患者の特徴を分析し、栄養指導の重要性を検討した。【方法】NASH患者58名(1998〜2007年6月受診)(1)生化学検査・パルスオキシメーター検査により、身体特徴を分析。(2)栄養指導実施者40名の食事調査表より、生活、食習慣を分析(3)治療継続と栄養指導の重要性について、カイ2乗検定にて分析。【結果】(1)身体特徴:男性53名(平均年齢38.5歳±12歳)女性5名(平均年齢56.0歳±16.5)。BMI値22以上は91.4%、脂質代謝異常者が87.9%、SAS(睡眠時無呼吸症候群)は、検査対象者の中で17名は、SASに該当した。(2)食習慣:飲酒習慣67.2%(毎日飲酒習慣8.6%、1日平均アルコール量7.95g)、ジュース、菓子摂取72.5%,82.5%。夜食症候群(20時以降食事75.7%、夕食後菓子・果物47.4%)の傾向であった。(3)治療継続者と中断者は、初回、肝機能数値には、有意差はないが(p<0.01)、治療継続後では、有意に差を認めた(p<0.01)。治療継続患者(n=31)中、栄養指導実施者は、26名で有意に治療を継続する傾向を認めた(p<0.05)。【考察】平成20年度には特定健診・特定保健指導が導入される予定であり、肝機能異常者には、更に詳細な生化学検査を施行し、NASH進展への危険性などを説明する必要がある。またNASH自体臨床症状が現れにくい疾患であるため、病態進展を阻止し、治療継続を促すためにも、薬物治療の他に、医師、看護師、保健師、栄養士が一体となった患者教育と食事運動療法の実践が肝要である。
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