第2セッション
演題 2
当院における嚥下困難食の改善
発表者 ○田原由美、森多喜子
(JA北海道厚生連 帯広厚生病院)
【はじめに】近年、NSTの一環として嚥下機能評価や治療に取り組む施設が増えている。嚥下機能評価や治療には、嚥下障害の程度に応じた適切な食事の提供が重要であるが、多くの施設において嚥下困難食が明確な基準のもとに品質管理されていないという報告もある。当院の嚥下困難食は平成11年に「ゼリー・ペースト・とろみ食」の3食種へ改善された。以後大きな変更はしておらず、明確な基準はなかった。問題点として@嚥下困難食と次の軟らかい形態にあたる軟菜食との差が大きく移行できないAとろみ食では舌でつぶせる硬さにばらつきがあるなど挙げられたため、このたび見直しを行い、平成19年2月より新献立を実施した。その取り組みについて報告する。【献立改善への取り組み】1、とろみ食の検食を行い、新献立作成時にその評価を参考にした。新献立でも再検食を行い評価した。2、聖隷三方原病院の「嚥下食食事基準」を参考にし、言語聴覚士と当院患者の食傾向を相談しながら当院の基準を作成した。3、嚥下困難食用の市販食品を検討し、献立に組み入れた。4、院内職員に新献立の説明を行い周知を図った。5、新献立実施前後にアンケート調査を実施、評価した。【結果・考察】1、再検食の結果、とろみ食でみられた硬さの大きなばらつきは指摘されなかった。食事基準を定めたことにより、食形態が一定になったと考えられる。2、アンケートの結果、食事摂取量や量・味付けに対する評価は改善前後で変わらなかったが、食種が移行する日数は短縮した。食種を1段階増やしたため、次の段階に移行しやすくなったと考えられる。【おわりに】今回の嚥下困難食の改善により、明確な基準が定められ食形態が一定になったことから、より適切な食事の提供ができるのではないかと考えられる。今後新献立を活用し、個々の患者の嚥下状態・摂取状況に応じたより細やかな対応、評価をしていきたい。
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