第2セッション
演題 1
肥満と関連する血中パラメーターと体脂肪との関係
発表者 ○松下真美、渡辺久美子、斉藤昌之
(天使大学大学院 看護栄養学研究科 栄養管理学専攻)
【目的】 体脂肪量や内臓脂肪量を推定するにはX線CTが最適であるが,簡便かつ安価な代替法として生体インピーダンス法(BIA法)が汎用されている.本研究では,肥満やメタボリックシンドロームに関連する各種血中パラメーターを測定し,X線CT,BIA法の結果と比較検討をした.
【方法】 対象は23〜65歳までの男女47名(男性25名BMI18.9〜30.6,女性22名BMI17.4〜26.9)の健常者とし,6時間以上絶食の後,採血,X線CT検査を行い,その後一時間以内に空腹のままBIA法(InBody720)により体組成を計測した.
【結果・考察】 臍レベルでのX線CT画像から求められた体脂肪面積は男性22.4〜493.2 cm2,女性66.2〜423.3 cm2で,内臓脂肪面積は男性10.7〜138.0 cm2,女性16.2〜110.9 cm2であった.BIA法による体脂肪量は男性6.2〜36.8kg,女性7.4〜26.2kgで,内臓脂肪面積は男性20.2〜161.9 cm2,女性15.8〜114.6 cm2であった.これらの結果と血中パラメーターの相関を調べるとX線CT,BIA法ともにレプチンには正の相関,アディポネクチンには負の相関があった.しかし,HbA1c はX線CTでは正の相関が認められたが,BIA法では有意な相関がなかった.一方,X線CTとBIA法の両者間で比較すると,体脂肪ではr=0.88と高かったが,内臓脂肪ではr=0.69と低い相関しか認められなかった.従ってHbA1cとの相関で差異が認められた一因は,BIA法の信頼性が低いことによると想われるので,BIA法についてはこれらの点を考慮した利用が望まれる.
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