第9セッション
演題 2
盛付・配膳作業における交通量とその態様の比較検討
盛付台方式 vs ベルトコンベア方式
発表者 ○新井田 洋子、佐藤 節子
(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科)
【目的】盛付・配膳作業を効率化する上で、300床未満の場合は盛付台方式で十分であり、ベルトコンベアは不要であると言われている。しかしわずか54トレイであってもベルトコンベア方式の方が給食の温度管理、作業効率、及び調理員の動線距離において優れていることをすでに調査報告した。そこで今回は、動線の分析を通して作業中の交通量とその態様を検討した。
【方法】3クラスそれぞれにおける調理員5人の5分ごとの動線モニター図合計190枚をOHPにコピーし、クラスごとに5人分を経時的に重ねた。交通量の評価のため、動線総数を数えて両方式を比較した。交通の態様の評価では、盛付・配膳室を6区域に等分し、動線の長さが3区域以上に渡るものと3区域未満のものとに分け、両方式を比較した。さらに盛付・配膳作業の規律性を反映すものとして動線が交差する回数を6区域の合計と配膳車とその周辺計2区域の合計に分けて数え、両方式を比較した。
【結果】動線総数は、盛付台方式において496±13.6本でベルトコンベア方式の42±11.7本に比較して10倍以上多く、3区域以上を横断した動きでは前者103±3.9本、後者4.3±1.4本で前者が25倍以上、3区域未満では、前者393±10.9本、後者38±10.5本で前者が10倍以上であった(各々p<0.001)。交差回数は、前者537±16.5回、後者7±1.9回で前者が70倍以上多く、配膳車とその周辺区域では前者342±9.6回、後者5±1.4回で前者が60倍以上多かった(各々P<0.001)。以上の結果から、ベルトコンベア方式の方がはるかに効率が良いことが確認された。
【考察】本研究では学生が調理員役をしたため、作業中の無駄な動きが散見されたが、その点を考慮してもこれまで言われていた300床未満におけるベルトコンベア不要の議論に再検討の余地を与えるデータであると思われる。
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