第6セッション
演題 1
居住形態別にみた女子学生の調理器具ならびに調理方法に関する比較
発表者 ○中野愛2)・菊地和美1)
(酪農学園大学1)・株式会社グリーンハウス2)
[目的]女性の社会進出に見る就労率の上昇と余暇時間を有意義に過ごしたいという社会的な傾向により、家庭独自の食事の「作ること」、「食べること」に関することは伝統として継承することが困難になってきている。女子学生を含む若年女子は将来の母親予備軍としての責務を負うことを考えると「作ること」、「食べること」の意識を高める必要がある。しかし、食べることの意識は個人差が大きく、女子学生の調理に対する意識も低下してきていると推察される。そこで、本報告は、女子学生の調理能力を高めるための指導のあり方を検討する目的で、食生活ならびに料理づくりの実態に関する調査を行った。
[方法]調査は札幌市近郊にある大学学生を対象として、2004年6月中旬に実施した。調査方法は集合調査法を用い、記入方法を説明後、310人のうち了解した300人の回答が得られた(回収率96.8%)。
[結果]女子学生が「作ることができる料理」の回答は「ない」が目立ち、自宅生に顕著であった。「作ることができる料理」の回答数は「よく食べる料理」より少なかった。「作ることができる料理」の回答数は自宅外生が多く、肉料理と卵料理に有意な差がみられていた。保有・使用調理器具は自宅外生の上位にまな板や包丁が出現しているのに対して、自宅生では1位がともにフライパンであった。調味料の保有数は、使用数よりも多かった(p<0.01)。自宅生は、菓子作りを「好き」と回答するのに対して、料理作りは「好き」と「好きでも嫌いでもない」がほぼ同数であった(χ検定、p<0.01)。以上より、女子学生を対象とした調理指導は、楽しく学びながら基礎的な知識と技術を身につけさせるプログラムの検討が必要であり、調理器具を増やすよりも調理器具を活用させること、計量器の基本的な使用方法や習慣づけ、調理器具の扱い方を把握させることが必要であると考える。
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