第5セッション
演題 4
急性期病院におけるNCMシステムに基づいた栄養管理の構築
発表者 ○鈴木美貴、佐々木朋子、河原麻値、秋田まゆみ、杉谷静香、鵜飼真千子、大塚真奈
(手稲渓仁会病院 栄養部)
【目的】急性期病院の栄養管理における管理栄養士の役割は、患者の栄養状態を評価し、疾病の進展防止や栄養状態の維持、改善に貢献することである。当院では既に栄養管理に取り組んでいるが他業務での拘束により病棟業務の時間が相対的に少ないことや、業務手順が不明確なため経験年数や個人により業務差が生じるという問題があった。DPC制度導入や在日数短縮に伴い、チーム医療への管理栄養士の積極的な介入が求められており、業務の画一化を目的としてNCMシステムに基づいた栄養管理業務の構築に取り組んだ。
【方法】環境整備として部内組織を再編成し、病棟担当栄養士の業務時間を確保。業務手順は情報収集、アセスメントの視点、ケアプラン立案のための展開方法などをマニュアル化し、アセスメントシートはチェックや穴埋め式とした。栄養管理対象者は食事摂取量が五割以下の患者経管栄養患者とし、NCMの流れに基づいて実施。経過はSOAP式で記録し、栄養管理終了時はサマリーを記述することとした。体制整備後、モデル病棟を特定して病院勤務一年目の新人が3ヶ月間の試験運用を行うこととした。
【結果】組織の再編成により病棟担当栄養士は終日病棟に駐在可能となり、また、業務方法の明確化によって新人でも栄養管理の展開が可能となった。試験運用における栄養管理介入数は29例。そのうち管理期間が二週間以上であった10症例について栄養管理開始時と終了時で評価を行ったところ9例において血清アルブミン値の増加が認められた。
【考察】栄養管理業務を明確にし、手順通りに実施することで適正なアセスメントが行われ確実な栄養改善を図れることが示唆された。また、チーム医療の一員として栄養管理を行っていくためには病棟に駐在する時間の確保が急務であったと考える。今後は急性期病院における病態別の栄養管理のあり方、栄養改善に対する評価の検討を行なっていきたい。
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