第3セッション
演題 1
精神科外来患者の体重減少の試み
−ダイエット倶楽部の報告−
発表者 ○齋美代子、佐藤透子、大戸綾子、早川美樹
(手稲病院栄養科)
【目的】現在、精神疾患を持つ患者様の中で生活リズムの不安定さや向精神薬の副作用により体重が増加し、肥満症や生活習慣病を発症するケースが多く見られるようになった。このことから外来患者様を対象に減量を目的とした「ダイエット倶楽部」を発足させグループワークを実施することにした。
【対象者】当院 外来通院者で「減量したいという意志を持つ人」を対象にした。申込は10代〜60代の男性4名・女性4名 計8名であった。
【方法】月一回 グループワークを実施する。内容としては体重を計りグラフ化する「体重日記」の活用、食習慣の見直しや調理実習を中心に構成する。多角的なアプローチとして医師や作業療法士など多職種との連携を図る。
【結果】精神疾患を持つ患者様の減量の難しさは予想していたが、2週間に1度の頻度で個人フォローを積極的に取り入れるなどの工夫により、一例ではあるが2年間で約20kgの減量に成功した。 この成功の要因は、減量のコツを掴むことができたことにある。一方、コツを掴めなかったため減量できず周囲の視線がストレスとなり途中でリタイアしてしまうケースもあった。主病である精神状態の影響により減量意欲を維持することが困難であり、肥満解消の必要性を強調することで症状の悪化など精神科特有の要因に大きく影響された。また、患者様の内面に入り込むことの難しさに直面し、精神科領域におけるスキル不足を感じた。今後の課題として、精神状態の安定や個人のペースに合わせた長期的な経過の見守りを重視し、一人でも多くの患者様が肥満症・生活習慣病から回避するための方法を模索していきたいと思う。
第2セッション演題3へ 第3セッション演題2へ