第3セッション
演題 2
炎症性腸疾患(IBD)患者の栄養指導
発表者 ○氏家真梨、山賀由佳子、安川絵理、高畑悠子、佐々木宏美、三岩富美恵
(JA北海道厚生連札幌厚生病院栄養科)
【目的】当院ではIBD患者への栄養指導として個人指導(栄養相談、調理実習)の他、多くの患者が集まるという当院の特性を活かし、集団指導(クローン病相談室、調理実習)を行っている。クローン病相談室の担当スタッフは栄養士、医師、看護師(外来・病棟)、薬剤師、ソーシャルワーカー(MSW)により構成されており、チームで患者のQOL向上に参画している。これらの集団指導を通して得られるその意義、効果について報告する。
【対象と方法】クローン病相談室は月1回、入院、外来患者およびその家族、患者会会員などすべてのIBDに関わる人々を対象とした自由参加型で行われる。料理・食品紹介の他、回毎にテーマを設けそれに沿った講義形式を用いる。毎回アンケートを行い参加者の意見を集約し、次回テーマへと反映させている。調理実習は入院中であり、且つIBD食米飯・全粥形態を摂取中の患者を対象としている。現在成人の消化器科グループに対し実施しているが、加えて小児科からの依頼もあり、11月より小児科グループでも行う予定である。
【考察】様々な栄養指導形態がある中で、IBDのような特定疾患では同じ悩みを持つ患者が多く、また成長期の小児患者も多く彼らを支える家族の精神的ケアも必要とされる。これらの集団指導による患者同士の交流がもたらす効果というものは、一度閉鎖したクローン病相談室が、多くの患者の声により再開するに至ったという経緯からも大きいといえる。メンバーが多職種で構成されていることで総合的なケアも行うことができる。患者会会員や家族等の参加もある為、病院側にとっても互いの情報交換・交流の場となり、地域医療の提供の場となっている。集団調理実習を通し、患者同士が意見や案を交換しあう良い機会となっている。今後、当院のIBD集団指導を多くの患者のさらなるQOLアップへ向け、院外への情報発信、公開などの検討も必要とされると考える。
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