第2セッション
演題 3
透析食の至適栄養量の検討
第2報 生活習慣記録機(ライフコーダ)を用いて
発表者 ○佐竹麻実、高平道子、隈元晴子、和泉由佳理、宍戸里奈、平泉幸子
(宮の森記念病院)
【目的】前報では糖尿病患者の食事、運動等のセルフケア行動の実行度を高め行動変容に導く媒体としてライフコーダの活用を述べた。今報は透析患者での検討を試みたので報告する。透析食の栄養基準は他疾患と比し水分、ミネラル、電解質など制限する成分は多いが、熱量、たんぱく質は高い特徴がある。この為、指示栄養量と摂取栄養量との間に乖離がみられる症例が多い。患者個々の基礎消費熱量(BEE)、運動量、総消費熱量を求め、更に食事の満足度や栄養状態を把握し、患者と共に至適栄養量を求めた。
【対象と方法】外来血液透析患者6名、平均年齢56歳、平均透析期間13年、食事摂取量は諮問形式とし調査期間はライフコーダ装着期間の9日間とし、栄養指標は維持体重(DW)、心胸比、血液生化学データとした。
【結果】熱量は指示栄養量がDW当たり34kcalに対し、摂取栄養量では30kcalと、約15%の減。たんぱく質も熱量と同様に指示量1.4gに対し、摂取量は1.2gと約14%の減。BEEの平均はDW当たり22kcal、平均総消費熱量は26kcalである。指示栄養量と摂取栄養量が一致した症例は2例(61歳、透析期間2年)で、他の4症例(66歳、透析期間19年)は指示栄養量が摂取栄養量に比して約23%程度の増である。運動量は85kcalで指示栄養量と摂取栄養量との差異や職業の有無に対し関連性はみられない。心胸比を除き全症例のDWの増及び血液生化学データは共に下限ではあるが許容範囲内にあった。食事の満足度では、現在の食事摂取量が自己の生活に於いて最適であるとの答えであった。
【考察】以上の結果より栄養障害のない症例で、透析食の熱量は、(BEE×身体活動レベルは1.2)程度が患者に受容され易いとも考える。然し栄養障害を予防するという検知からでは、1.3程度の必要性も考慮すべきであろう。
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