第2セッション
演題 2
良好な血糖コントロールを維持できた
GDMの栄養指導症例
発表者 ○松木郁絵 芝山信子
(JA北海道厚生連 旭川厚生病院 栄養科)
【緒言】妊娠糖尿病(以下GDMとする)は妊娠中の厳格な血糖コントロールとケトーシス防止のため分割食が進められているが、分割食は「食事に追われているよう」「時間がない」など、患者にとって負担になりやすい。また、1回の栄養指導だけでは理解が困難な場合が多く、分割食の継続が難しい。特にGDM患者は妊娠から出産という心身ともに敏感な時期に分割食を継続して行わなくてはならない。
今回、継続的に栄養指導を行った2症例を通して、GDM患者に対する栄養士の継続的な関わりの重要性を感じたのでここに報告する。
【症例】平成16年12月から平成17年7月の間に継続栄養指導を行った2名。
上記の2症例と栄養指導が1回のみであった3症例に対し、分割食に対する意識・実施状況を調べるため、分割食の食事療法に関するアンケートを行った。
【結果と考察】分割食に関しては、全員が出産まで継続できたと回答しており、「子供のためを思うと大変だったが頑張れた」という意見が多く見られた。しかし、栄養指導が1回で終了してしまった患者からは「献立例がもう少しあると実行しやすかった」「毎日のカロリー計算ができずに困った」など食事療法に対する不安の声が見られた。継続栄養指導に至った2症例は、当初は食生活に問題点があり、患者自身も分割食に対して戸惑いを見せていたが、定期的な食事点検により次第に自信が生まれたようであった。また、継続的に栄養指導を行うなかで、食事療法に対する不安や疑問も解消されたようであり、そのことがスムーズな分割食の継続、さらには良好な血糖コントロールに寄与しえたのではないかと考える。今後は、知識を教えるだけの断片的な栄養指導ではなく、妊娠から出産までの食事をトータルで支援していく事がGDM患者の出産において、栄養士の重要な役割である事を再認識し、定期的に患者と関わっていけるような体制作りに努めていきたい。
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