第3セッション
演題 5
炎症性腸疾患患者への「みかん」エリミネーション・ダイエットを試行して
発表者 ○東 貴代、三岩 富美恵、逸見 トヨ子、松田 環季竹内 夕紀子
庄内 恵、 吉田 典代、原 博、須賀 俊博
北海道IBD食・食事療法研究会、北海道大学 大学院農学研究科、札幌厚生病院)
【目的】北海道IBD食・食事療法研究会では、炎症性腸疾患患者の食生活における摂取食品拡大を目的に、毎年1品づつエリミネーション・ダイエットを試行している。エリミネーション・ダイエットは、イギリスで実施されている個人別対応食品選択法で、通常に摂取している食品の中にテスト食品を1品追加し、全身状態・腹痛の有無・排便回数を点数化して食品摂取の不可を判断する方法である。今回、缶詰の状態では摂取可能だが、生の状態では制限食品としていた柑橘果物の「みかん」について実施し、病態の変化を検討したので報告する。
【対象】北海道IBD患者会で緩解維持しているテスト希望者18名(クローン病(CD)患者13名・潰瘍性大腸炎(UC)患者5名)を対象とした。
【方法】酸味の少ない時期にMサイズのみかん2個/日(1日目は1個)を6日間摂取してもらい、負荷後の全身状態・腹痛の有無・排便回数についてアンケート方式で確認した。なお、摂取方法としては、果肉のみとし摂取回数については、それぞれの食生活パターンに合わせての摂取可能とするため指定しなかった。
【結果】1.みかん(生)を摂取していない患者は3名であった。2.試行中の脱落者はいなかった。3.男女比は、男11名・女7名で年齢22〜68歳、罹病期間は1〜20年であった。4.摂取回数は、1回摂取が10名、2回摂取が7名であった。5.全身状態では、軽い症状がCD患者3名・UC患者2名であった。6.腹痛に関しては、我慢できる程度の痛みのあった者がCD患者1名のみであった。7.排便回数については、負荷前後で変化はなかった。
【まとめ】「みかん」は今回のテストでは特に病状悪化を伴わず、一部を除いた他は摂取可能な食品となったが、食べ方・量・摂取時期等への考慮は必要と考える。

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