第3セッション
演題 4
レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)の排泄効果
発表者 ○野本由紀子、隈元晴子、宍戸里奈、佐竹麻実、平泉幸子
(宮の森記念病院)
 【目的】 レジスタントスターチには食物繊維の生理作用があり、排便効果、大腸疾患の改善、血中コレステロールの低下などが知られている。食物繊維は病院食に於いても透析食のように食事療法の必然性から、また高齢者の食欲不振による摂取量の低下などで充分に提供できないことが多く便秘の誘因となりやすい。よって便秘にて下剤を服用中の症例にレジスタントスターチ(ハイメイズゼリー)を提供し、排便コントロールを試みた結果多少の改善がみられたので報告する。
 【対象と方法】 対象は入院患者5名(透析2、脳血管障害3)、平均年齢77歳を(A群)習慣性便秘3名と(B群)入院により便秘を生じた2名に分けハイメイズゼリー(80Kcal/100g、食物繊維5.5g、水分80ml)(以下ゼリー)の2/3袋をデザートとして昼食に提供。観察期間は提供の3週間及び後の3週間で計6週間とした。排便コントロールはベットサイドでの諮問形式とした。
 【結果】 食物繊維の平均摂取量は12.0g、水分1270mlであった。これにゼリーが付加され食物繊維、及び水分は8%程度の増となり16.0g、1350mlとなった。提供前の排便回数、便性状はA群では1回/隔日から2〜3日、兎糞便で力み有、自力排便不可の症例もあったが、B群では1回/日力み有の兎糞便であった。ゼリー提供後A群では1症例を除き正常便に近づき便量も増え改善がみられた。更に自力排泄不可の症例でも稀に自力排泄がみられたが全症例服薬は継続。B群では喫食2〜7日で排便コントロールが正常となり服薬も喫食後2〜3日で中止。提供3週間後では両群に継続希望者が多かった。
【考察】 食物繊維を含む食品の摂取には限度があり必要量を充たすことは容易ではない。よって食事以外に個々の病態に応じた食物繊維を摂取することの有用性が示唆された。
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