第3セッション
演題 3
長期療養型医療施設におけるNST導入による
栄養管理の有用性の検討
発表者 ○三輪孝士(市立名寄短期大学)、岡田有司((財)信貴山病院ハートランドしぎさん)
【目的】 近年,急性期及び一般総合病院において,栄養部門にNST(Nutrition Support Team)を組織し活動する病院が増えてきているが,長期療養型病床を有する病院におけるNSTの活動は未だ少数である。NSTによる栄養管理を行う上で,身体計測のデータは重要な指標であるが,長期療養の患者であっても栄養状態の変化をみる上で重要であると思われる。我々は,適切な栄養管理を行うにあたり,4年間継続した身体計測値結果から,NSTによる身体計測の必要性について報告する。
【対象と方法】 老人性痴呆療養病棟に入院中の患者41名(男性19名,女性22名,平均年齢75歳±8歳,51歳〜87歳)の身長,体重,上腕三頭筋皮下脂肪厚,肩甲骨下部皮下脂肪厚の身体計測を行った。また,生存している患者の半年後(29名,男性14名,女性15名,平均年齢75歳±8歳)および4年後(17名,男性5名,女性12名,平均年齢79歳±7歳)について身体計測を行い,栄養状態を評価した。
【結果】 患者41名中%IBW<70の重度低栄養状態の者が2名,%IBW<90の低栄養状態患者が18名(43.9%)であった。低栄養状態患者について栄養管理を検討し,半年後に再計測した結果,%IBW<90の低栄養状態患者は7名(24.1%)であった。4年後の%IBW<90の患者は6名(35.3%)であった。また,4年間生存している患者の中で,初回スクリーニング時に%IBW<90の低栄養状態であった患者について,4年後に%IBWが低下した者は無く,すべての患者において%IBWが維持または向上となった。
【考察および結論】 長期療養の患者であっても,栄養状態を評価する上で身体計測値から%IBWや体脂肪,骨格筋量を把握し,これをNSTによる適切な栄養管理に反映することが必要であると思われる。
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