第3セッション
演題 2
『COPD患者における栄養管理の有用性』
発表者 ○鈴木美貴、駿河智美、河原麻値、秋田まゆみ、杉谷静香、鵜飼真千子、佐々木朋子、
大塚真奈(手稲渓仁会病院・栄養部)
【目的】2001年にNHLBIとWHOによって発表されたCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の国際的ガイドラインであるGOLDでは、体重減少がCOPD患者の予後因子であることをエビデンスAと示している。今回、COPD患者に対する適正な栄養管理方法を検討する目的で、栄養管理目標を(1)体重の増加(2)体重の維持とし、個々の患者に対し(1)生活環境(2)食事摂取状況(3)食習慣から包括的栄養診断を行い、食事摂取低下に対する改善計画の1つとして、栄養補助食品を用いた食事療法の有用性について検討を行った。【方法】外来通院中のCOPD患者10例で、継続的に食事と併用して栄養補助食品を使用した群4例と栄養補助食品を使用しなかった対照群6例とで6ヶ月間の体重、筋蛋白、脂肪量及び食事摂取の増進変化を次の条件下で検討した。(1)個々の患者に月1回の身体測定を含めた栄養指導を実施し、初回時と6ヶ月後のデータのBMI,MAC,TSFの比較を行った。(2)食事摂取量の増進については、2日間の食事記録と聞き取りによる食習慣調査を基にCOPDの食事療法(COPD診断と治療のためのガイドライン)を基本とした食糧構成の対比を行い、栄養診断及び食事摂取状況の点数化を行った。(3)栄養補助食品は患者の嗜好に見合うものとして、商品の限定は行わなかった。統計処理は95%有意水準で同一群内の対応があるt−検定を実施した。【結果】食事+栄養補助食品併用群と対照群の平均年齢はそれぞれ79±4.58歳と74.6±5.14歳。BMI、食事摂取量の増進点数には食事のみと栄養補助食品併用群両方共に増加が認められたが、MAC、TSFに関してはどちらも有意差は認められなかった。【考察】COPDの栄養管理において、患者の食事背景や摂取状況を適切に捉え、食事のみに捕らわれることなく栄養補助食品も必要に応じて適宜利用していくことは栄養状態の改善に有用であると考える。
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