第2セッション
演題 2
食品の自主検査に基づく調理マニュアルの検討
発表者 ○隈元晴子 宍戸里奈 野本由紀子 佐竹麻実 平泉幸子
(宮の森記念病院)
 【目的】 安全で美味しい食事の提供は患者様の満足度を高め治療の一環として寄与している。食事の安全を確保するためメニュープランの作成には生産システム、購入・保管貯蔵システム・人的要因や作業環境などの検討を要する。当院では更に食品の自主検査結果を活用しながら調理マニュアルの検討を行い、食事の提供に努めているので報告する。
 【方法と対象】 食品微生物検査対象は当院の調理済み食品、水産加工品、非加熱食肉製品で必要により再検査を実施。検査項目は生菌数・大腸菌群・黄色ブドウ球菌・サルモネラ・腸炎ビブリオなど。検査結果が衛生基準項目の許容範囲ではあるが上限にある場合には、食材、作業工程などを検討しながら原因追求を試みる。
 【結果】 (1)生イクラを洗浄から次亜塩素酸Na(50ppm)30分浸漬で消毒…
鮭寿司(生いくらは洗浄し正油漬けにしトッピング)の生菌数が多かった。作業工程に充分に留意し鮭寿司を再現したが生菌数には変化がみられなかった。よって生イクラが生菌数増の原因と考え(洗浄前)と(次亜塩素酸Na消毒済)にて検査した結果、生菌数は洗浄前では次亜塩素Naに比し400倍であり洗浄のみでは極めて不十分である事が判明した。
(2)調理済み食品の温度管理の徹底…サンドイッチ(1.5時間、室温放置)の生菌数が多い。セレクトメニューで提供のため調理の優先順位が決まっていなかった。いずれのメニューとの対応に於いても先に調理し冷蔵庫保管を徹底した(菌増殖の抑制)。
(3)食品材料の変更…かにサラダの蟹身を冷凍の蟹身から缶詰めに変更(生菌数の減)。
(4)しらす干し…加熱、非加熱の生菌数を比較し消毒の重要性をスタッフに啓蒙。
 【考察】 自主検査は安全性の指標として有用であるがコスト面で限界がある。クックチルシステム導入時には細菌検査なども栄養士業務に積極的に取り入れることを希望する。
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