第2セッション
演題 1
食中毒リスク・栄養リスク抑制を目的とした医師、看護師へのコミュニケーション
発表者 ○井塚ふみ子、島田道朗、島田達朗、室崎優子(恵庭南病院)、
佐藤節子(北海道文教大学)
【目的】当院栄養部門では、(1)厨房における栄養剤調製から病棟での患者投与までの時間の長さと操作回数の多さによる衛生管理上の問題、(2)褥瘡患者へのエネルギー提供量不足による栄養状態低下と病状回復の遅れ、この2つの改善すべき課題を認識していたが、実情調査と栄養士から医師・看護師へのコミュニケーションを強めることによって良い結果が得られたので報告する。
【対象と方法】(1)栄養剤では、調理員による調製作業を連続3日間(9回)モニターし、病棟における患者投与のタイミングについて看護師から聞き取りを行った。(2)提供エネルギーでは、過去2年間で褥瘡の治癒が見られなかった患者5名を選び、褥瘡委員会において提供エネルギーの50%増量を提案してメンバーの賛同を得た。その後、患者の体重、Alb、TP、および褥瘡デザインスコアを4ヶ月間モニターした。
【結果】(1)調理員による栄養剤調製操作は患者1名分につき18回、患者投与までの所要時間は朝・昼食において2時間10分、夕食6時間、うち室温での作業40分、流水下加熱は朝・昼食1時間30分、夕食5時間10分であった。厨房内温度は23.5℃、栄養剤容器に触れる流水温度は60.9℃であり、病棟へ運搬後患者に投与されるまでの間、容器内の栄養剤は微生物増殖至適温度帯に置かれることが推定された。これを院内の感染防止委員会で報告したところ、操作回数からは交差汚染リスク、栄養剤温度からは微生物増殖リスクが認識され、調製作業不要な栄養剤への変更が実現された。これによって栄養剤による食中毒リスクがゼロに近づいたと思われる。(2)エネルギー増量によって3名中2名(患者A、B)の体重増加が認められ、褥瘡デザインスコアにおいては1名(患者A)が4点、2名(患者B、C)が6点改善した。
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