第1セッション
演題 3
盛付け・配膳工程へのベルトコンベア導入による温菜温度等改善効果
発表者 ○佐藤節子(北海道文教大学)、井塚ふみ子(恵庭南病院)
【目的】300床未満の病院における盛付け・配膳(これ以降、‘配膳’と記載)工程では、一般にベルトコンベアは不要と考えられている。しかし加熱調理された食品を、作業中の温度乱用を避けつつ患者ベッドサイドへ60℃以上で届けるためには100床規模であってもベルトコンベアによる集中的配膳が必要と推察された。これを確認するため、120床の病院における配膳の現状調査と仮想ベルトコンベア設置による介入実験を実施し、温菜温度、配膳回数、配膳所要時間、歩数等について比較検討した。
【対象と方法】調理員5名に万歩計を装着、従来方式による朝食時の作業内容を中心に分単位でモニターし、うち4名の配膳動線を厨房レイアウト図にプロットした。全食事トレイが配膳車へセットされ、かつ病棟への運搬用エレベーターへ搭載される前、常食、全粥食、糖尿病食、腎不全食、潰瘍食等の温菜主菜を取出し温度測定を行なった。後日、朝食時にステンレスカウンター2台を縦長に並べて仮想ベルトコンベアとし、調理員5名を(1)スターター兼主菜、(2)ランナー兼全粥・汁物、(3)冷菜、(4)主食・個別調製、および(5)チェッカー兼ローダー担当に振分け、ベルトコンベアをコの字に囲む形に基本配置した。通常より30分繰下げて作業を開始、ビデオカメラによって作業内容とトレイラインからの離脱回数をモニターした。
【結果】従来方式では病棟への運搬開始約30分前に米飯、味噌汁が集中的に配膳されるが、主菜については90分以上前から断続的に配膳されるため2者間の平均温度の差は倍以上、かつ全ての主菜温度が厨房内で32℃未満であった。一方ベルトコンベア方式では30分以内に全配膳工程が終了、患者病棟で測定された主菜温度は、加熱開始指示が不徹底であった食品を除き80%が60℃以上であった。従来方式と比較して移動を伴う配膳回数の減少、完成トレイ数/分の増加、および調理員の歩数抑制に効果が認められた。これらから、120床規模においてもベルトコンベア方式は有効であり、また早朝出勤時間繰下げによる調理員のQOL改善のためにも役立つシステムと思われた。
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