第3セッション演題 2

「パン」エリミネーション・ダイエット −炎症性腸疾患患者への試行−

発表者 ○三岩富美恵、庄内恵、逸見トヨ子、東貴代、松田環季、竹内夕紀子、吉田典代(北海道IBD食食事療法研究会)、原博(北海道大学大学院農学研究科)、須賀俊博(札幌厚生病院消化器科)
【はじめに】 北海道IBD食食事療法研究会では、炎症性腸疾患患者のQOL向上を 目的に毎年エリミネーション・ダイエットを試行している。今回は、イギリスでは禁 止食品、日本でも制限した方が良いとされている「パン」について実施、病態の変化 を検討したので報告する。
【対象者】

北海道IBD患者会で緩解期を維持しているエリミネーション・ダイエッ ト希望者のクローン病患者(CD)18名と潰瘍性大腸炎患者(UC)7名の計25 名で実施した。同負荷に関する説明を行い、同意を得た上で6日間実施した。

【方法】

脂肪含有の少ない天然酵母パンと市販されている食パンを選択し、各120 g・3日間ずつ摂取してもらい、負荷後の全身状態、腹痛の有無、排便回数をアンケ ート方式で確認した。尚、摂取順は脂肪の少ない天然酵母パンから開始した。

【結果】
1,試行中の脱落者はいなかった。2,男女比は、男18名・女7名で年齢 は19才〜63才、罹病期間は1年〜28年であった。3,パンの食べ方は、1回摂 取が21名、2回摂取が4名でまとめて食べるほうが多かった。4,全身の状態は、 軽い症状のあった患者が天然酵母パンで4名(CD3名・UC1名)、 食パンで8名 (CD5名・UC3名)であった。5,腹痛に関して、我慢できる程度の痛みがあっ た患者は、天然酵母パンで1名(CD1名)、 食パンで3名(CD2名・UC1名) であった。6,排便回数は、負荷後、天然酵母パンで2.0回、食パンで2.4回で 特に回数増加はなかった。
【まとめ】
イギリスにおけるパン摂取禁止の理由は、長期のテスト結果より、使用原 料・摂取量・摂取回数等が考えられるが、今回のテストでは両食品共に、特に病状増 悪を伴わず摂取可能であること、また、患者は体調に合わせて摂取量やパンの種類を 自己調整しながら常用していた事などもわかった。
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