第1セッション演題 2

低酸素包装−水冷工程を組入れたクックチルシステム導入とその影響の検討

発表者 ○平泉幸子(宮の森記念病院栄養科)、佐藤節子(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科)
【目的】 低酸素包装−水冷工程を組入れた低価格クックチルとして佐藤が開発した パックチルシステム®は、機器が小型で設置が容易なため、従来型の病院厨房に導 入して活用できるとされる。このような特長を有する調理システムの影響を明らか にするため、14日間本システムの試験的導入を行った。その結果、現在のクック サーブでの問題点解決に繋がるべく多くの示唆が得られたので報告する。
【方法】

対象は一般食、特別食、外来透析食で、提供食数の約70%とした。献立 は現状のままで、朝食は主菜、副菜総数の68%(19アイテム)、 昼・夕食では セレクトメニューの中でデザートを含め計12回を提供、提供日は翌日から4日後 迄とした。尚、勤務体制は早朝出勤者のみ30分繰り下げて作業開始とし電気、水 道、再加熱方法等の施設設備面では現状通りの導入とした。

【結果】
パックチルシステムでの実質生産日は8日間、生産量は9〜25Kg(平 均17.1Kg)/日、朝食での平均提供重量110g/人で朝食全量の14%、 その栄養価は熱量の15%、たんぱく質の22%を占めた。更に米飯、味噌汁、牛 乳、香の物を除き、主菜・副菜に対する重量比では69%、栄養価では熱量68%、 たんぱく質65%と高率にあった。昼・夕食では特に外来透析食のセレクトメニュ ーで2日に1度の生産で対応できたため、1食当りの作業時間が半減し生産性が向 上した。
【考察】 要約すると(1)熟練を要する調理業務の短時間集中、(2)栄養士・調理員1人 あたりの生産重量(kg/FTE)の増加、(3)早朝出勤の緩和が実現され、将来的 には(4)週末出勤頻度の緩和、(5)当該施設における熟練者の必要数の減少が予想され た。これは、生産性向上に活用できるだけでなく、ゆとりある勤労を求める調理員 のQOLの改善に寄与できるシステムであると評価された。
第1セッション演題1へ第1セッション演題3へ