第1セッション演題 1

低価格クックチルシステムの活用実験包装時食品温度モニターと意義

発表者 ○佐藤節子(北海道文教大学)、平泉幸子(宮の森記念病院)
井塚ふみ子(恵庭南病院)
【目的】

 低価格のクックチルシステムであるパックチルシステムの開発研究の中で、 食品を袋詰めする時の温度遵守が難しいことが判明しているが、これに関する研究報告は少ない。本研究では規模の異なる病院の厨房で実際にどのような温度推移が観察されるかを明らかにし、厨房規模に即した基準設定の参考とすることを目的とする。

【方法】

 1回に最大150食を提供する恵庭南病院と約80食を提供する宮の森記念病院の協力を得て、各病院のメニューよりクックチルに適したアイテム合計25種類を抽出した。単品あるいは合計で、1回の最大冷却量(30kg)に準拠した量を加熱調理し、熱源を止めるかまたは熱源より外した後、袋詰め直前の食品の温度を測定して袋詰めを行う方法(宮の森記念病院)、または袋詰め直後に袋内での食品温度を測定する方法(恵庭南病院)をとって温度推移を記録した。温度計は、校正済みのデジタル温度計(横河Model 2455)を使用した。

【結果】
 材料・粘度に共通性が認められるアイテムについて比較した。図1に恵庭南病院における袋詰め温度推移を示し、回帰直線を適用して得られた値と加熱重量を表1のA「単品大量加熱」欄に示した。表1のB「多品種少量加熱」欄には、宮の森記念病院で調理されたアイテムの温度推移と回帰直線から得られた値を示した。これらより、加熱調理量が少ない場合は多い場合に比較して袋詰め温度低下が有意に速い(t検定、p<0.05)ことが判明した。
【考察】 長期保存のための袋詰め温度基準を一律に遵守することが難しい小規模病院に対しては、加熱し直す作業に時間を費やすプログラムではなく、現状の温度に即して保存期間を短縮する等の運用ができる修正プログラムを検討すべきと思われる。

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