栄養士のつぶやき No.12

札幌ライフスタイルスタディに参加して

特定医療法人 柏葉脳神経外科病院 栄養科  安江 千歳

 本年(2005年)1月、北海道大学大学院教育学研究科健康スポーツ科学講座健康科学の河口明人教授のもと、運動・栄養指導と健康教育が健康増進や疾病予防に果たす役割の科学的根拠を示すことを目的に、一般住民を対象とした前向き無作為化臨床介入試験(札幌ライフスタイルスタディ)が開始されています。
この研究は、疫学研究および臨床研究における倫理指針に則り、札幌市北区住民の40歳以上70歳未満の健康な男性と閉経後の女性を対象として参加者を募り、書面にて同意が得られた316名に、身体理学検査・体組成および体力測定と血液検査の他、食物摂取頻度調査や心理検査を実施した後、1年間の運動および栄養指導の効果を評価するもので、参加者は、対照群、運動介入群、運動・栄養介入群の3群に無作為化さています。私はその運動・栄養介入群の栄養教育を担当するために参加しています。
栄養教育は、毎月発行するNews Letterと講習会で行っています。この内容や方法は、昨年夏から始まった打ち合わせ会で、生命予後に影響を与える科学的根拠を示めすことを基本とし、どのように情報提供することが、健康な住民の方々の生活習慣をより疾病予防の方向へ変化を促し定着させることができるかなどについて一から考え具体化しています。そして一年後、その効果を有効な結果として得るために取り組むこの過程は、栄養士としての知識や技術を科学的根拠として示すことを求められ、難しいことも然る事ながら、思うような根拠を見つけ出すことができない時などは悪戦苦闘としか言えず、限界…と思いながら毎月の栄養教育の内容の作成に取り組んでいます。
介入研究である札幌ライフスタイルスタディへの参加は、科学的根拠を基にした栄養教育の重要性と、疾病予防における栄養士の役割の意義深さを再認識させていただいているように感じられます。あと半年後、介入研究終了後の解析結果によって私達の栄養介入効果が評価されます。その効果を住民に還元し日常生活に役立ててもらうと同時に、私たちとっても、それが新たな目標を提示してくれるものと期待しています。



【紹介者:市立札幌病院栄養科 小野寺美和子


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