第9セッション
演題 2
ダッタンソバ茹麺のα-グルコシダーゼ阻害と血糖値上昇抑制効果
発表者 ○大坪雅史2)、筆村千恵子1)、金澤康子3)、志賀一希3)、荒川義人3)
1)有・大中山ふでむら、2)道立工技センター、3)天使大学)
【目的】ダッタンソバの摂食は、血糖値の上昇が抑制的で糖尿病予防効果が期待される1)。今回、演者らが共同開発した保存期間中α-グルコシダーゼ阻害効果を保持するダッタンソバ生麺について、茹でて摂食した時の血糖値の上昇抑制効果とその要因について検討したので報告する。
【方法】試料は、開発したダッタンソバ生麺(大中山ふでむら社)と、同生麺から調製した茹麺である。α-グルコシダーゼ阻害効果は、凍結乾燥試料の70%メタノール抽出液を用い、酵素反応で生成するグルコース減少量から算出した。ルチンおよびケルセチンは、試料のメタノール抽出液をHPLCに供して定量した。血糖値に関するデータは、予め実験への協力を承諾している13名の被験者が、2日間、茹麺と白飯を摂食し、食後0分から180分後まで経時的に自己採血して得た血液を簡易血糖値測定装置に供して求めた。
【結果および考察】生麺と茹麺のα-グルコシターゼ阻害効果は、18日間の保存中、開始時とほぼ同じレベルで保持され、生麺に対する茹麺の効果は約90%であった。ルチン含量は保存開始時(31mg/100g)から次第に減少したが、ケルセチン含量(255mg/100g)は保存中に大きな変化はなかった。血糖曲線下面積(AUC)を用いた血糖値上昇の比較では、茹麺は白飯に比べてAUCが有意に小さい値となった(n=13、p<0.01)。以上から、ダッタンソバ茹麺の摂食は、白飯の摂食に比べて血糖値上昇の抑制傾向を示し、その効果はケルセチンによるα−グルコシダーゼ阻害に基づくものと推察した。しかし、ケルセチン以外の物質による阻害効果やでんぷんの消化性の影響など、他の要因に寄ることも否定できないので、今後、さらに研究を進めたいと考えている。
1)金澤ら:北海道食品科学技術振興財団(No.7)調査・研究報告,(2001)P21〜32
第9セッション演題1へ 第9セッション演題3へ