第9セッション
演題 3
ホヤ可食部凍結乾燥粉末の脂質代謝と運動時の血中乳酸値に 及ぼす影響
発表者 ○松本恵2)、佐々木将太1)、原博2)、松原範宜3)、真船直樹1)
1)酪農学園大学、2)北海道大学大学院農学研究科食品栄養学、3)コンビ(株))
【目的】ホヤは北海道や東北で食される海産物である。長い食経験から滋養強壮効果などが期待されているが、詳細な研究は少ない。これまで、ラットを用いた試験において、ホヤ可食部凍結乾燥粉末を摂取することによって、脂質代謝改善効果と自発運動量の増加が確認されている。本研究では、健康なボランティアにホヤ可食部凍結乾燥粉末を6週間摂取して頂き、脂質代謝と運動時の血中乳酸値の変動に対するホヤの影響を調べた。
【対象と方法】健康な男女28名、22±2歳のボランティアを、ホヤ可食部凍結乾燥粉末が一粒に350mg梱包されているゼラチンカプセル(ホヤクティブ、コンビ(株))、または脱脂粉乳を梱包したプラセボを一日に15錠(ホヤ粉末、または脱脂粉乳を約5g / day)摂取する群と、ホヤ粉末またはプラセボを摂取して、週3回、LT1負荷の自転車トレーニングを30分間行う群の計4群に分けた。被験試料の摂取前と摂取後6週間目に採血し、血液の一般生化学項目を調べ、体重、体脂肪を測定した。また、摂取前と摂取後の2回、エルゴメーター(エアロバイク、コンビ(株))を用いてオールアウト運動負荷試験を行い、乳酸値を経時的に測定し、LT1値を算出した。運動負荷時の血中乳酸値の変動に対するホヤ摂取による影響は、LT1時の荷重量と乳酸値で評価した。
【結果】ホヤ可食部凍結乾燥粉末、またはプラセボを摂取して6週目の血液中の脂質を調べた結果、血中コレステロールの LDL、VLDL画分が、ホヤ可食部凍結乾燥粉末を摂取してトレーニングを負荷した群で摂取前よりも低下する傾向が見られた。また、オールアウト運動負荷試験の結果においても、LT1が上昇し、乳酸値が低下する傾向が見られた。このことにより、日常的なホヤ摂取と、トレーニングの負荷は脂質代謝の改善と、運動機能の亢進を促す可能性が示唆された。
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