演題 12 肥満症におけるサプリメントの使用経過(第2報)
               ○ 佐竹麻実 野本由紀子 小玉恵三子 平泉幸子(宮の森記念病院)
               古水扶美江(日本栄養士会) 
【目的】


 肥満は合併症の誘因となり罹患率の減少が、医療費抑制の第一歩とも考えられている。肥満の治療方法は種々あるが、一番安易なのが食事療法である。然し、継続性に欠けることは熟知のことである。今報では食事とサプリメント(栄養補助食品)を併用し、肥満の改善に挑戦している症例を報告する。
【対象

背景】
 対象症例は女性4名、平均年齢61.3歳±6.3、開始時のBMIの平均は31.5±0.33、生活活動強度1〜U、食事は1〜2回/日でサプリメント(蛋白、ミネラル、ビタミン、食物繊維、抗うつ作用の8種類)を2〜3回/日を併用した。合併症は全症例が高血圧で、他に糖尿病、高脂血症、腎疾患などで観察期間は4ヶ月間である。
【結果】









 BMIの平均は3ヶ月後で29.7±1.8、さらに4ヶ月後には28.7±1.7まで低下した。体重減少率が最大の症例は72kg〜58kgと14kg(19%)の減量、最小では75kg〜70kgと5kg(7%)で、体重減少率の平均は14±4.8%で2.8kg/月±0.97と大幅な改善がみられた。またいずれの症例も高血圧が正常域まで下がり服薬が中止、糖尿病では血糖コントロールやコレステロールの改善がみられた。摂取栄養量の食事とサプリメントの割合は熱量、蛋白質、脂質の60〜90%は食事から、ビタミン、ミネラルの90%以上がサプリメントからであった。この結果、所要量に対しての充足率は三大栄養素は20〜40%と少なく、ビタミン、ミネラルにおいては2〜7倍と膨大な摂取増であった。
食行動の変容は1ヶ月頃より現れ、食事療法のみでは、苦痛で継続できなかった激しい食欲、抑えがたい空腹感、イライラ、うつ状態、疲労感がなくなり排便回数、運動量も増えた。よってこの療法に対する満足度が高く継続の意志が強い。
【考察】

 サプリメントを併用する症例は益々増加するであろう。栄養のアンバランスがどれだけの期間、心理学的に生理学的にも許容できるのかなど疑問点も多い。栄養士がサプリメントの正しい知識と効果的な使用法を学び、食行動の変容まで関れるようなアセスメントが望まれる。