平成21年度 春期研修会 講演





「メタボリックシンドロームと老化・ガン」
北海道大学大学院医学研究科腫瘍内科学
                客員研究員   方波見 基雄


「最近のサプリメント情報 −サプリメントとSOYJOYの最近の話題−」
大塚製薬(株)札幌市支店
         ニュートラシューテカルズ事業部
                販売促進 メディカル領域担当 菅原 正







メタボリックシンドロームと老化・ガン


北海道大学大学院医学研究科腫瘍内科学
                         客員研究員 方波見 基雄

 日本は世界一長寿ですが年齢とともに癌が増え、老化と癌は切っても切れない問題です。
 まず、メタボリックシンドロームは、内臓肥満・腹囲に国民の気付き(意識)を向けさせようと することから始まっています。内臓脂肪の蓄積から、血圧高値・血糖高値・脂質高値(根っこは同 じ)が出現し放置すると三大生活習慣病が発生し、今や男性は40歳前後から(2人に1人)女性 は60歳以上になるとぐっと増え、ただの中年太りではなく加齢(老化)と深く関わっている症候 群です。その原因は加齢とともに内臓脂肪が蓄積しやすくなり、それと逆相関で筋肉量が減ってき ます。またミトコンドリアの機能も低下しインスリンの働きも鈍くなり、そこに身体活動量の減少 (生活習慣)で、ますますインスリン感受性低下ということで増えていくのではないかと言われて います。有効な対策として考えられる根拠の1つは生活習慣(運動と食事・禁煙)を変えることで 内臓脂肪が減り脳卒中・心疾患発症の危険因子全てが改善できるという事です。
次に老化と深く関わっているものに、ホルモンの変化(インスリン値上昇・インスリン感受性低 下)・酸化ストレス(活性酸素・フリーラジカル)・染色体末端で生命時計の役割を果たすテロメア の短縮(細胞分裂の停止)があります。
※酸化ストレス関連→紫外線・たばこ・ストレス全般・糖分脂質の多い食生活 21世紀になり、長寿遺伝子(SIRT1)加齢促進遺伝子(P53)などの拮抗的な作用・共進 化の部分が次々に解ってきました。カロリー制限→長寿遺伝子活性化→インスリン感受性増加→酸 化ストレス減少→血管若返り→寿命の延長。
それと全く逆のパターンがメタボで、血管老化→寿命 の短縮となる事。インスリン抵抗性はメタボにより発癌 リスクを高め統計的に乳癌・大腸癌に罹り易く、またアデ ボネクチンは動脈硬化を抑えると同時に腫瘍を小さくする 事などです。健康長寿が人類の永遠のテーマで、実際SIRT1 の錠剤ができたとしても、多面的な栄養素が含まれる野菜を 積極的に摂る事が現状では確実であると思われます。



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最近のサプリメント情報
−サプリメントとSOYJOYの最近の話題−

大塚製薬(株)札幌市支店
ニュートラシューテカルズ事業部
販売促進 メディカル領域担当 菅原 正

健康とは、栄養・休養・運動のバランスが大切。メタボリックシンドロームの基準と対策を再確認 し、SOYJOYと低GI食品の効果について興味深い講義が聴けた。
アメリカでは健康保険制度が日本のように手厚くなく、栄養素の摂取で病気を予防し、治療に役立 てる学問、臨床栄養学が発達しサプリメントは予防医学に重要な役割を果たしている。日本国内で も食生活の変化や医療費の増大など様々な生活環境の変化で自己予防に時代に入ってきた。
そんな中で、大豆は世界一の長寿国日本で重要な栄養源になってきた食品。しかも北海道は全国一 の生産量を誇り女性特有の疾患予防にも大きな役割があることが注目されている。その背景には米 国と比較した疫学事実にある。
(1)心臓病の死亡率が低い (2)骨粗しょう症による大腿骨骨折率が半分 (3)乳がんによる死亡率約1/4 (4)男性の前立腺がん死亡率約1/5 (5)更年期ホットフラッシュの症状が少ない。これらが大豆およ び大豆イソフラボン摂取量の差と考えられている。さらに興味深いのは大豆イソフラボンには更年 期諸症状の改善に関与する主な物質、ダイゼインの腸内分解物エクオールであると提唱されている。 腸内にエクオール産生菌を持つ人持たない人で症状にばらつきがあるという。
そこで、SOYJOYは「まるごと大豆=商品」の技術で大豆を表皮ごと粉砕し100%大豆で作り新 しい大豆の食べ方を提唱する。また、低GI(グリセミックインデックス)食に着目しマメ科植物 を含む食事は血糖値の上昇を抑制し、さらに次回の食事による血糖コントロールを改善することが 解かった。これはセカンドミール効果といい、低GI食を食べ、次の食事に普通食を食べて血糖値 の影響を調べる。低GI食直後は血糖値上昇も緩やかだが、次の食事後も血糖値が低減していた。 しかし、低GI食は食べるタイミングが大切で量と方法が鍵を握ると提唱する。
最後に2012年医療法改正を前に、特別用途食品についての新しい 情報を聴いた。現在、在宅もしくは医療機関で使用している、食品タイプの濃厚流動食が病者用総合栄養食品として医薬品の治験に近い項目をクリアし許可を得て、特別用途食品「病者用・許可基準型」として使用する事が出来るようになる。現在も一部で購入できるが、在宅患者等が近所の調剤薬局で購入できるようになる。 今後は認知度を高め、的確な情報提供が必要で、対象者には適正な栄 養管理がなされるように、栄養士も更なる研鑽が必要になる。

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