平成17年度定期総会・春期研修会終了報告
平成17年5月19日(木)かでる2・7において、定期総会並びに春期研修会が開催されました。
総会
平成16年度事業報告・決算報告、平成17年度事業計画・予算が承認されました。
研修会
「アミノ酸から始まる生命の不思議」
大塚製薬株式会社 能力開発研究所
課長 西野友善 氏
<命の全てを担うたんぱく質>
たんぱく質を構成する20種のアミノ酸は、それぞれ機能と個性を持っている。
基本的に、その配列の設計図は遺伝子に組み込まれている.それ故に、一人ひとりの
アイデンティティはたんぱく質が決定しているといってよい。
<体内アミノ酸の不思議>
食事として摂取されたたんぱく質は、消化吸収されてアミノ酸となり、小腸粘膜で吸収され、門脈を経て肝臓へ運ばれる。この吸収段階において、血中アミノ酸のうちグルタミン酸濃度が1番高いにもかかわらず、門脈中にはグルタミン酸が全く出現しない。
これは、消化管粘膜で小腸粘膜のエネルギー源として抜き取られているためである。
<ニュ―トラジェノミックス>
2001年に、ヒトゲノム解析が完了した。これにより、テーラーメイドの予防医学の可能性が拓けた。
栄養との関連では、ニュートラジェノミックスという概念が生まれ、オーダーメイドの栄養指導が求めら時代に入った.。 栄養士にとっては、遺伝子診断を理解し、栄養指導を通して伝えていかなければならないであろう。
「食品栄養成分特に脂溶性成分による未病の予防」
〜海藻由来カロテノイド(フコキサンチン)の抗肥満効果〜
北海道大学大学院水産科学研究科 機能性物質化学研究室
教授 宮下和夫 先生
<先進国で憂慮されている課題と問題の解決>
先進国における食糧の世界的な流通と大量消費、レストランチェーンの展開による独自の食文化の崩壊、市販の冷凍食品・菓子・清涼飲料などの消費、外食の拡大。これらの要因により肥満の増加、糖尿病、高血圧、動脈硬化、がんなどのリスクが増大している。
問題解決には、食と環境の安全・安心、食を基本とした病気の予防が考えられる。
<水産物の機能と有効利用>
水産物に含まれる栄養成分は、様々な生体機能を示すことが明らかになった。なかでも、高エネルギー食の弊害を予防する水産物の機能性に関する研究が、これまで以上に重要になっている。
魚油に関しては、多様な生理作用が報告されて以来、サプリメントへの利用が欧米を中心に積極的に行われ、市場規模も拡大の一途を辿っている。
<フコキサンチンの抗肥満効果>
古くから日本で親しまれてきた海藻については、含有成分であるフコイダンの免疫能の向上と抗腫瘍活性が知られている。
それ以外の特に脂溶性成分、カロテノイドの一種であるフコキサンチンが細胞レベルで強い脂肪蓄積抑制効果を示すことが明らかになった。日本人の伝統食といえる海藻は安全・安心であり、今後の機能性食品としての利用が期待される。