平成17年 秋期研修会

  「冬がきてからではもう遅い
         今から頑張る肥満対策」

講師:北海道立衛生研究所 健康増進科
科長 桂 英二

<地域保健推進特別事業「肥満予防対策事業」調査について>
 北海道特有の生活習慣から成人(特に中高年)の肥満が多くみられる。
昨年、道内12市町村において、冬季及び夏季における生活習慣の実態について科学的根拠に基づく調査を行った。  その結果、25%の人が冬の体重が夏に比べて多く、特に女性肥満者にその傾強かった。その原因として食生活と運動が考えられるが、食生活については、摂取エネルギーに関しては冬と夏に差がなく、冬に体重が増加する原因は過食に由来しないという結果になった(ただし、今回の調査対象者は肥満予防教室などへの参加者が多く食生活への関心が高かったためと考えられる)。
 一方、運動については、女性肥満者で冬の運動量が少ないという結果になった。その理由として気候と道路状態などの環境による影響が大きいと同時に、運動する意志はあるが、その機会がないと感じる人がいるということが示された。

<肥満と中性脂肪>
 何度もダイエットに挑み、何度も失敗する。それはなぜか・・・ ひとつのことに期待しすぎ、すぐ効果が現れないのでやめるからである。 何ヶ月いや何年もかかって付いた脂肪が1ヶ月でとれるはずがない。そこで肥満・脂肪について科学的に理解し、食事・運動など総合的に考え、強い意志で実行する。
 中性脂肪とは何か、その役割、代謝、そして中性脂肪の合成、特に問題なのは肝臓での合成である。元来、すでに体の中にある脂肪酸の割合は食事の量ではそう変わらない。食事として摂るグルコースの余ったものが中性脂肪となり、皮下脂肪として肥満へと続くのである。グルコースをいかにエネルギーとして利用するか、そのエネルギーの産生に深く関わっているのが今話題のα[アルファ]―リポ酸、CoQ10、L−カルニチン酸などである。

<老化と筋力低下>
 ヒトとして避けては通れない老化。運動不足と食べすぎのせいだけではなく、老化にともなって筋肉が衰えていく。筋肉組織の主なエネルギー源は脂肪酸が使われている。この脂肪酸は酸素を必要とする。したがって体脂肪を燃やすためには運動を短時間でも繰り返し継続すること、体脂肪を燃えやすい身体をつくることである。
(室内でテレビをみながら負荷をかけた(ダンベルなど)体操をすることも効果あり)

<まとめ>
 食べる量と使う量(エネルギーを出す)を考えなければ有酸素運動をしても無駄だである。適度な運動をし、筋肉を強化することによって安静時代謝量を高めることが可能であり、栄養のバランスのとれた食生活を継続することとあわせて、健康な身体づくりが肥満予防対策に重要であると考えられる。

<質疑応答より>
 肥満を予防するためには、冬にも積極的に運動することが重要であり、そのためには道民が気軽に参加できる施設や指導する人などの早期設定、実現を望む。

    



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