第7セッション
演題 1
ブラジルと日本の妊娠期、授乳期の母親が摂取する食品への考え方
発表者 ○館脇 寿芽 エレッセ、植村 なお子、石井 智美
(酪農学園大学 酪農学部 食品科学科)
【目的】南米大陸で最大の面積と人口を有する国がブラジルである。日系移民が多いといわれているが、現在の人口に日系人が占める比率は1%である。出生率は2.0人であるが、今後、日本と同様に少子高齢化に移行すると予想されている。そうしたブラジルと日本で、妊娠期、授乳期において母親が「積極的に食べてよいもの」と「食べてはいけないもの」がどのような食品、料理であるかと、乳児に与える母乳への意識の現状について知ろうとした。【方法】ブラジルは、パラナ州ロンドリーナ市のクリニックで、11ヵ月児から24ヵ月児を持つ母親に聞き取り調査を行った。日本では札幌市、江別市で同様の調査を行った。【結果および考察】ブラジルで妊娠期、授乳期の母親において「積極的に食べてよいもの」とされているものとして、家庭でつくられている穀類と牛乳の入ったスープが最初に挙げられた。ついで、ポレンタ(とうもろこしの料理)、牛乳、乳製品、野菜、黒ビールであった。「食べてはいけないもの」は 脂の多い食品、チョコレート、炭酸飲料、ビタミンCを含むフルーツ類であった。日本では、「積極的に食べてよいもの」として最初に挙げられたのは汁物で、ついで野菜料理、煮物、和食、餅だった。「食べてはいけないもの」は刺激の強いもの、身体を冷やす食品だった。国によって違っているとともに、中には科学的な根拠がないと思われるものもあった。こうした食品を区分する背景には文化や歴史、民族の伝承があると考えた。母乳栄養についてブラジルではWHOの指導を活用し、6ヶ月までは母乳のみを与えるように指導している。6ヶ月から離乳食を開始し、母乳は24ヶ月まで与える。母乳が出ない場合は、牛乳又は赤ちゃん用ミルクを与えるが、その場合スプーンがコップを使う。哺乳瓶は使用しない指導が進んでいる。あわせておしゃぶりの使用は44%である。日本では母乳を飲ませることについての母親の意識、関心が高いことが分かった。
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