第6セッション
演題 3
サンマ油摂取による血漿と肝臓中の
中性脂質、リン脂質、コレステロールエステルに含まれる
脂肪酸組成の変化
発表者 ◯大森晶奈1)、西向めぐみ1)、前場良太2) 、原博1)
(北大院・農1)、帝京大・医2)
【目的】魚油には、n-3系多価不飽和脂肪酸であるDHA (Docosahexaenoic acid)やEPA (Eicosapentaenoic acid)が多く含まれており、これらの成分が、血中の脂質改善作用に関与していると考えられている。また、魚油には、n-3系多価不飽和脂肪酸と同様に、コレステロール低下作用が報告されている一価不飽和脂肪酸(オレイン酸、イコセン酸など)も多く含まれている。本研究では、魚油の中でも一価不飽和脂肪酸のイコセン酸含有量の多いサンマ油に着目し、サンマ油摂取時の血清、臓器中における各種脂質(中性脂質;TG,リン脂質;PL、コレステロールエステル;CE)中の脂肪酸組成を測定することで、各種脂肪酸の体内動態を検討した。
【方法】Wistar/ST系雄性ラット(6週齢)をAIN-93Gに準じた基本飼料で7日間予備飼育後、基本飼料群、基本飼料中の大豆油7%のうち4%をサンマ油に置き換えたサンマ油添加食群の2群で摂食試験を行った。14日間の試験飼育後に解剖を行い、腹部大動脈血、肝臓等の臓器を採取した。血漿と肝臓はBligh-Dyer法で抽出後、各脂質量とそれぞれに含まれる脂肪酸組成を調べた。
【結果・考察】 サンマ油の摂取によって、体重や摂食量に変化は認められなかった。サンマ油添加食群でコントロール群に比べ、血漿中の総コレステロール量は減少したが、TG量、PL量に差は無かった。肝臓では各脂質量に有意差は見られなかった。血漿、肝臓中の各脂質の脂肪酸組成は、サンマ油に多く含まれるn-3系脂肪酸であるやDHA、EPAや、一価不飽和脂肪酸であるイコセン酸の割合は増加したが、一方、アラキドン酸の割合は減少した。特に肝臓中のPLにおいてその傾向は顕著であった。以上より、サンマ油に特徴的な脂肪酸は、PLで強く反映されたことから、このことが脂質代謝改善に作用している可能性がある。
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