第6セッション
演題 2
myo-イノシトール摂取が誘導する
血漿中リン脂質亜分画プラズマローゲン濃度増加の
LC-MS/MSによる解析
発表者 ◯後藤美紀子1)、西向めぐみ1)、前場良太2)、原博1)
(北大院・農1)、帝京大・医2)
【目的】プラズマローゲンは、生物界に広く存在するリン脂質のサブクラスの一種で、グリセロールのsn-1位にビニルエーテル結合を持つ。この構造が活性酸素感受性を有することより、アテローム性動脈硬化症の予防効果が期待できる。これまでの研究で、ラットにmyo-イノシトール添加食を与えると、血漿および肝臓中のプラズマローゲン量が増加することを示してきた。本研究では、myo-イノシトール摂取が、ラット体内のプラズマローゲン合成に与える効果を再確認するとともに、UPLC-MS/MS法によりプラズマローゲンのクラス(コリン型、エタノールアミン型)別、分子種別の解析を行うことを目的とした。 【方法】SD系雄性ラット(10週齢)をAIN-93Gに準じた基本飼料で4日間予備飼育した後、基本飼料群、myo-イノシトール2.5%添加群、myo-イノシトール5%添加群の3群に分けた。10日間の試験飼育後に解剖を行い、腹部大動脈血、肝臓を採取し、プラズマローゲンを含む各種脂質量をそれぞれ調べた。Bligh-Dyer法で脂質を抽出した後、プラズマローゲンはUPLC-MS/MSによる分子種別の定量を行った。中性脂質、総コレステロール、コリン型リン脂質については市販のキットを用い酵素法で、全リン脂質はBartlett法で、それぞれ測定した。 【結果・考察】2.5%イノシトール投与群において血漿中のプラズマローゲン量が40%増加した。クラス別、分子種別の解析の結果、特定のクラス、分子種の増加によるものではなく、全体的な増加が見られた。sn-2位には、アラキドン酸が多く含まれていた。肝臓中のプラズマローゲン量には群間差は無かった。以上より、myo-イノシトールの経口摂取は、ラット血漿中のプラズマローゲン量を増加させ、アテローム性動脈硬化症の予防に効果が期待できる。
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