第6セッション
演題 1
ダッタンソバ生麺に含まれるケルセチンは
α-グルコシターゼ阻害活性を有する
発表者 ◯鳥海滋1)、大坪雅史1)、筆村千恵子2)、荒川義人3)
(北海道立工業技術センター1)、(有)大中山ふでむら2)、天使大学3)
【目的】ダッタンソバには血圧上昇抑制作用や、血糖値上昇抑制作用が期待されている。演者らはこれまでに、ダッタンソバ抽出物がα-グルコシダーゼ阻害活性を有し、血糖値上昇抑制に関与する可能性を報告した。今回、ダッタンソバ抽出物からα-グルコシダーゼ阻害活性を有する成分を分離同定したので報告する。
【方法】(有)大中山ふでむらが製造・販売する「韃靼そば(ダッタンソバ生麺)」の茹で麺を材料とし、そのDMSO抽出液を試料とした。α-グルコシダーゼ阻害活性は、ラット小腸アセトンパウダー由来の粗酵素を用い、マルトースを基質として、試験管内で酵素阻害活性を評価した。さらに試料のHPLC分画を行い、活性成分を分離同定した。
【結果】ダッタンソバ抽出液には濃度依存的なα-グルコシダーゼ阻害活性が認められた。またHPLC画分の阻害活性を検討したところ、阻害活性成分はポリフェノールの一種であるケルセチンであると推定され、濃度と活性の関係はケルセチン標品のものとほぼ一致することを確認した。
【考察】ダッタンソバにはケルセチンの配糖体であるルチンが多量に含まれ、近年その機能性に注目が集まっている。しかしながら、ルチンは製麺時にケルセチンへと加水分解されてしまうため、従来はルチンをいかに残存させるかがダッタンソバ加工上の問題点であった。今回の結果から、血糖値上昇抑制効果に関してはルチンよりも、むしろその加水分解産物のケルセチンが重要であることが示唆された。
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