第4セッション
演題 1
高齢者糖尿病血糖管理のための補食調整
発表者 ○氏家志乃1)、 江村智子1)、荒井幸江2)
(医療法人社団いずみ会 北星病院栄養科1)、介護老人保健施設 北星館栄養科2)
【目的】血糖管理を目的に入院する高齢者2型糖尿病患者2名を対象とし補食の調整を行った。今回この2症例の調整過程を報告する。【症例と経過】症例1、87歳、女性、HbA1C7.0%、インスリン治療中であった。病院食摂取量にムラがあること、また家族からの料理や嗜好品の差し入れが多くそれらが要因となり低血糖、高血糖を繰り返していた。患者とその家族を対象に栄養相談や病棟カンファレンスを実施し患者や家族の思いに傾聴した。血糖安定化を図るため一定期間だけ病院食だけで過ごしてもらうことを提案し、同時に嗜好調査を実施し患者のニーズに沿うよう食事・補食を調整した。低血糖発現頻度の高い時間に合わせ15:00と20:00に150kcalの補食提供を行った。症例2、70歳、男性、HbA1C5.7%、速効型インスリン分泌促進薬による薬物療法中であった。脳梗塞後遺症である咀嚼嚥下障害を有しており、適応食がゼリーやムースの形態を主とする嚥下訓練食であった。深夜、早朝に低血糖が起こる傾向にあった。就寝時の補食摂取としてチーズ等の食品の選択が適切であると考えられたが、嚥下機能上の問題があり提供食の形態に準じた160kcalの蛋白質食品の提供を行った。さらに食品形状の他P:F:Cバランスを考慮し糖質エネルギー比を10〜20%程度に抑えた内容の調整を行った。【結果】症例1では栄養相談や看護部門と連携し、患者とその家族への関わりにより食事の調整が図れ低血糖、高血糖を繰り返すことが少なくなった。症例2では形態の他、各種エネルギー比の調整を行うことにより夜間、早朝低血糖の頻度が減少した。【考察】単なる低血糖予防のための補食の提供ではなく身体、精神的背景、家族関係など社会的条件への配慮が重要であった。また夜間低血糖を起こしにくくするためのモデル食品がガイドライン等に提示されているが患者の状態に合わせた調整が必要であった。
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