第2セッション
演題 2
透析患者の栄養評価におけるnPCRの利用
発表者 ○松本 紗矢香、佐々木 望、斎藤 典子
(日鋼記念病院 栄養課)
【目的】透析患者では、栄養摂取の不足や、年齢に伴う食欲・体力の低下など体たんぱく質の異化を促進する条件が重なっており、たんぱく質とエネルギーの低栄養状態であるPEMとなりやすい。PEMに陥らないようにするためには、食事からのたんぱく質摂取・エネルギー摂取が適正であるかどうかに気を付けていくことが重要となる。体たんぱく質の異化速度は標準化たんぱく異化率(nPCR)として求めることができ、食事中のたんぱく質摂取量と相関するといわれている。そこで、当院外来通院患者においてもnPCRが栄養指標として使用可能であるかを検討する。【対象と方法】関連施設である東室蘭サテライトクリニック通院中の透析患者50名を対象に3日間の食事記録を記入してもらい、たんぱく質とその他の栄養素を算出、また血液・身体データを収集し、新里式を使用しnPCRを算出、他の栄養評価に用いるデータとの関係について比較・検討した。【結果】回収35名(男女比7:3)、T.平均nPCRは0.90 g/kg/dayで基準の1.0〜1.2 g/kg/dayより下回っていた、また栄養状態不良といわれる0.8 g/kg/day以下は6名であった。1.0 g/kg/dayを上回っていたのは8名で全体の23%であった。U.たんぱく質摂取量とnPCRの間に相関は見られなかった。V.摂取エネルギー量とnPCRの間に相関は見られなかった。W.血清総たんぱく質・血清アルブミンとnPCRの間に弱い相関が見られた。X.透析前尿素窒素とnPCRの間に強い相関が見られた。【考察】今回の結果から、当院ではnPCRを単独で用い透析患者のたんぱく質摂取量の充足・不足について評価することは難しいという結論に至った。nPCRは熱量が計算に入っていないため、正確にたんぱく質摂取を反映できないという問題も指摘されており、単独で栄養評価の指標として使用するのではなく、他の栄養状態を表すデータも考慮し、評価していくことが重要と言える。
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