第10セッション
演題 3
改正された『大量調理施設衛生管理マニュアル』の遵守状況
〜A施設を事例として〜
発表者 ○覚張沙奈恵1) 杉山和美1) 中川真希1) 近藤桂子2) 小林樹夫2)  齋藤郁子1)
(北海道文教大学1) 有限会社エムズテック2) )
【目的】集団給食施設では食事を提供するにあたり、『大量調理施設衛生管理マニュアル』(以下、マニュアルとする)を遵守することで衛生管理を行っている。このマニュアルは平成9年に厚生省から提示され、数回改正されているが、今年8月にノロウイルス対策を中心として新たに改正された(以下、新マニュアルとする)。新マニュアルが、給食施設の衛生管理を行う上で充分に活用されているか、また負担になっている部分はないか、さらに新マニュアルを遵守することで確実な衛生管理が行えるのか検討したので報告する。
【方法】新マニュアルに対応した衛生管理を実施しているA施設において、施設設備、器具類、ヒト手指、食事について、それぞれ簡易スタンプ法、ATPふき取り法または公定法を用いて細菌検査等を行い、衛生状態が良好に保たれているか確認した。
【結果】A施設での細菌検査などの結果、1回目の施設設備・器具類の簡易スタンプ法による細菌検査では、47箇所検査中汚染が確認されたのは13箇所(28%)であり、清掃指導後の2回目の検査でそれらのうち汚染されていたのはフードカッター1箇所であった。ATPふき取り法による手指の洗浄度検査結果では、不十分な手洗いによる汚染が確認された者が見られた。食事の細菌検査では、一般的な平日の昼食を採取し、一般食の他にきざみ食、ゼリー食を含めて16品目の料理について、公定法により一般生菌と大腸菌群の検査をおこなった。その結果、一般生菌数が多かったのは、一般食で、きざみ食、ゼリー食でそれぞれ1品であった。また、大腸菌群もいくつかの料理から検出された。
【考察】A施設の検査結果から、新マニュアルを遵守することで給食施設の衛生管理は一定レベルは保持することができると考えられる。しかし、過度な衛生管理は給食運営上問題点も見られることも含めて報告する。
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