第10セッション
演題 1
クックチルシステムにおける冷却法の比較に関する検討
発表者 佐藤節子 ○佐藤理紗子
(北海道文教大学)
【目的】早朝出勤が要求される給食の現場では慢性的な人手不足に陥っており、作り置きのできるクックチルシステムは今や必要不可欠と思われる。クックチルを特徴づける冷却工程には、水冷法と空冷法とがあるがこの2つの比較に関する研究報告は知られていない。そこで、加熱調理したオムレツをこれらの方法によって処理し、食味、細菌数、冷却機器の騒音について調査したほか、一般の厨房での使用を想定したCO排出量を比較検討したので報告する。
【方法】オムレツ1個分200g、計14個分の卵を大ボールで均一に混ぜ、フライパンで75℃以上に加熱調理した後、7個を水冷(パックチル®法)、7個を空冷でそれぞれ90分処理した。これを2回繰返し、空冷については、1回目をハード波、2回目をソフト波で処理した。冷却時には騒音計(Center322 Data Logger)を用いて、水冷機と空冷機の騒音を測定するとともに、測定者から騒音に関する感想を聞き取った。冷却後、1℃に設定した冷蔵庫で2日間〜4日間保管した後、約10℃に戻して保管日数ごとに水冷・空冷分を組合せ、20歳〜30歳のパネラー74名(第1回)及び79名(第2回)に対する食味試験に供した。食味試験は、「その食品らしい味がする」というテーマのアンケートとし、5段階の評価とコメントを依頼した。また第2回のサンプルの一部を試料として一般生菌、大腸菌群、低温細菌の検査を行なった。さらに冷却機器の電力使用量を電力会社の協力を得て調べ、厨房における1ヶ月分のCO排出量に換算した。アンケート結果の統計処理は、各回2群分けした値についてF検定及びマン・ホイットニー検定を行い、統計ソフトはエクセル統計第2版を用いた。
【結果】1.食味試験:水冷(パックチル®法)で処理したオムレツの方が、空冷処理を行なったものに比較して良い評価を得た(ソフト波との比較p<0.05、ハード波との比較p<0.01)。2.騒音:水冷機(パックチラー®)は50〜58デシベル、空冷機(ブラストチラー)は60〜72デシベルで推移した。3.微生物検査:水冷、空冷のいずれにおいてもすべて陰性であった。 4.CO排出量:水冷機については1日8時間、月20日間稼動する場合、使用する水道水と氷を含め約45kg、空冷機については1日5時間、月20日間稼動する場合、約190kgの排出量に換算された。
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