第1セッション
演題 2
当院における固形化濃厚流動食の効果について
発表者 ○江村智子、氏家志乃
(医療法人社団いずみ会 北星病院栄養科)
【目的】当院では平成17年より経管栄養法の副作用である下痢対策として濃厚流動食の固形化を開始した。今回その効果について検討する。
【方法】平成17年2月から平成20年9月までの期間に、PEG患者で栄養剤固形化適応になった6名(平均年齢84.8歳±15.8)、男性4名(平均年齢81.3歳±12.3)、女性2名(平均年齢92歳±1)を対象とした。PEG増設に起因する疾患は脳梗塞後遺症による嚥下障害3名、認知症による食欲不振2名、蘇生後脳症による意識障害1名であった。患者カルテより栄養剤固形化前後での便の性状を抽出した。また、固形化栄養剤適応患者の総蛋白・アルブミンをはじめとする生化学検査値、体重の推移を観察した。
【結果】栄養剤の固形化前後において、副作用である「下痢」は25.5±35.5%の減少が見られ、便の性状が改善傾向にあった。また、当院で使用している濃厚流動食には当院で調整しているもの、市販の固形化濃厚流動食の2種類があり、便の性状の改善までに数種類を試した症例もあった。生化学検査値のデータは、基準値範囲内で推移しており、著しい変動はなかった。体重の推移としては、栄養剤固形化後1か月後では栄養剤固形化前と比較すると、0.58±2.42%の増加傾向が見られた。
【考察】栄養剤の固形化前と比較すると、栄養剤の固形化後は副作用である下痢の改善が示唆された。しかし、単一の固形化濃厚流動食がすべての患者に適するわけではない。栄養士として濃厚流動食の特徴を塾知し、適切な濃厚流動食を選択できるよう他職種に情報提供していく必要がある。
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