第8セッション
演題 2
妊婦の葉酸摂取量と血中葉酸濃度に関する調査
発表者 ○金澤康子1)、竹内純子2)、吉田博2)、志賀一希1)
長谷川めぐみ1)、古崎和代1)、藤本征一郎2)
(天使大学1)、天使病院2)
【目的】
 妊娠時は、胎児や胎盤の急速な成長に伴い多くの葉酸が必要とされる。葉酸を充分に摂取することは、葉酸欠乏性貧血の予防や神経管閉鎖障害のリスク低減に効果がある。また、母体の血中葉酸濃度と子の出生時体重に正の相関があるという報告もある。一方で、葉酸は妊娠期の食事制限によって欠乏に陥る恐れが指摘されている。本研究では、妊婦の葉酸摂取状況を食事調査により把握するとともに、分娩時の母体および臍帯血の血中葉酸濃度を分析し、潜在的な葉酸欠乏について調査することを目的とした。
【対象および方法】
 本研究の趣旨に同意の得られた正常妊婦30名を対象とした。母体血は、分娩の際に通常行われる血管確保時に、前腕静脈より採血した。臍帯血は、母体から胎盤が娩出される前に臍帯静脈より採血した。母体血および臍帯血の葉酸濃度を測定した。また、葉酸摂取量を把握するために、妊娠前期から中期にかけて1回、妊娠後期に1回、それぞれ管理栄養士の面接により食物摂取頻度調査(FFQg)を実施した。
【結果】
 対象者の血中葉酸濃度は平均4.5±1.7ng/ml、臍帯血の葉酸濃度は平均14.5±6.4ng/mlであった。母体血の葉酸濃度と臍帯血の葉酸濃度との間には相関は見られなかった。FFQgによる葉酸摂取量は妊娠前期から中期にかけて平均202±78μg、妊娠後期は236±73μgであった。母親の葉酸摂取量と母体血および臍帯血の葉酸濃度との間には相関は見られなかった。
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