第10セッション
演題 3
老人福祉施設における食事形態について
〜「キザミ食」の供食の実態〜
発表者 ○山口直美(宗谷保健福祉事務所保健福祉部)
【目的】特別養護老人ホームに入所している高齢者には、摂食嚥下機能の低下を伴っている者も多く見られる中、食事形態が摂食嚥下機能障害者にとっては不適である「キザミ食」を提供している施設がある。今回、特別養護老人ホームにおける食形態及び供食に関する調査を行い、実態を把握したので報告する。
【対象と方法】道北地区老人福祉施設協議会に所属する特別養護老人ホームに対し、自記式の調査票を送付し、回収したところ30施設からの回答があった。調査内容は、施設の基本的情報、食形態の分類、供食数、及びキザミ食の移行理由等とした。
【結果】「キザミ食」を提供している施設は28施設(93.3%)と高く、その施設のうち、常食からキザミ食への移行理由(複数回答可)として、「うまく噛めないから」27施設(96.4%)、「食べるときにむせるため」21施設(75%)と摂食嚥下機能の低下している者へ提供している割合が高かった。また、常食からキザミ食への移行を決定する際、医師が決定者として加わっている施設は3施設(10.7%)と少なかった。一方、「キザミ食」を嚥下困難食であるため「ソフト食」を導入している1施設からは、常食以外の食形態を提供している者に「VF」を実施し、専門医及びSTから評価を受けているとの回答があった。
【考察】「キザミ食」は、摂食嚥下機能が低下している者には誤嚥しやすい形態であることが日本摂食・嚥下リハビリテーション学会でも報告がなされている。しかし、道内においては、摂食嚥下機能の評価が行われていない中、「キザミ食」を提供している施設が多いことから、施設利用者へ安全で美味しい食事を提供するため、施設での食形態について検討し改善することが望まれる。そのためには、道内において摂食嚥下機能及び「ソフト食」に関する研修会を開催する等、積極的に推進するよう栄養士会に期待したい。
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